図1 2007年〜2010年における撮像素子の市場規模。テクノ・システム・リサーチのデータ。
図1 2007年〜2010年における撮像素子の市場規模。テクノ・システム・リサーチのデータ。
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 テクノ・システム・リサーチは2010年6月,「2010年版 CCD/CMOSエリアイメージセンサー市場のマーケティング分析」を発行した。その調査・執筆を担った同社 研究員の大森鉄男氏に内容の一部を開示してもらった。

―― 2010年の撮像素子市場(ライン型を除く)はかなり伸びると,撮像素子メーカーは期待している。

 確かに順調だ。2010年は出荷量ベースで対前年比25%増の17億4060万個,出荷金額ベースで22%増の57億4190万米ドルとなるだろう(図1)。フィンランドNokia社が携帯電話機へのカメラ装着率を高めていることなどが成長を牽引する。

―― 山寨手機向け出荷はどれほどか。

 率直に言って,実態の把握が大変難しいものの,2010年では出荷量ベースで2億7400万個,出荷金額ベースで1億7360万米ドルと推計している。

―― この推計に基づくと平均単価は63セントになる。有効画素数がVGA(31万画素)の品種が出荷のほとんどを占めるから,ここまで出荷単価が低いのだろうか。

 そうだ。加えて工場を持たず,固定費が少ない新興企業が競っているから,単価が低い。山寨手機向け撮像素子市場は韓国SETi社(製造委託先は韓国Dongbu HiTek社)と,中国GalaxyCore(格科)社(製造委託先は中国SMIC社),そして米OmniVision社(製造委託先は台湾TSMC社)の3社によって占められている。

―― 山寨手機を除く市場では,韓国Samsung Electronics社が目覚ましい成長を遂げたと聞く。

 山寨手機向け出荷を除けば,Samsung社の出荷量シェアは,OmniVision社と肩を並べるか,それを上回る水準になっている(図2)。一方,日本企業では東芝がNokia社の需要に支えられて踏みとどまっているが,シャープが苦戦している。

図2 CMOSセンサのメーカー別出荷量とシェア。テクノ・システム・リサーチのデータ。
図2 CMOSセンサのメーカー別出荷量とシェア。テクノ・システム・リサーチのデータ。
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