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 ルネサス エレクトロニクスは,USBの最新仕様である「USB 3.0」に対応したホスト・コントローラLSIの新製品「μPD720200A」のサンプル出荷を開始した。同社従来品であるホスト・コントローラLSI「μPD720200」の後継品に相当する(発売当時はNECエレクトロニクス製,Tech-On!関連記事1)。μPD720200Aの特徴は,安価で,かつ消費電力が小さいことである。サンプル価格は1000円で,量産時の価格は300円(ただし,量産価格は注文数など各種条件による)。「量産時の価格は,USB 3.0のホスト・コントローラLSIを手掛ける競合他社に比べても安いはず」(同社)と胸を張る。2010年10月より月産200万個の規模で量産を開始する予定である。

 消費電力に関しては,周辺機器(デバイス側の機器)が接続されていない状況(アイドル時)での消費電力は50mW。「パソコン・メーカーの要求仕様を満たした」(ルネサス エレクトロニクス)とする。μPD720200と比べて,アイドル時の消費電力を約85%削減したという。μPD720200では400mWほどだった。例えば,HDDと,μPD720200Aを搭載したパソコンをケーブルで接続した状態での消費電力は525mWほど。データ伝送時では,転送するデータ量などによるものの,570mWほどである。従来品のμPD720200ではいずれの状態でも660mWだった。

実装するホスト機器側とのインタフェース向けに,データ伝送速度が5Gビット/秒のPCI Express Gen2を搭載する。大きさ10mm角,176端子のFPBGAパッケージに封止しており,端子配置はμPD720200と互換性がある。これにより,実装基板の設計変更が不要とする。

 同社はホスト・コントローラLSIだけでなく,同LSIを用いた参照デザインやIPコア,各種ドライバなども提供している。

互換性を強調

 ルネサスエレクトロニクスは,今回のような価格低減と消費電力の削減により,USB 3.0の普及拡大を目指す。加えて,USB 2.0との下位互換性を確保することで,USB 3.0普及を促す考えである。「USB 3.0対応をうたうホスト・コントローラLSIの中には,USB 2.0対応の周辺機器を認識できないものがある。一方,我々の製品は,USB 3.0の認証を受けた唯一のホスト・コントローラ製品。それゆえ,USB 2.0との下位互換をきちんと保証している」(ルネサスエレクトロニクス)Tech-On!関連記事2