図1 家庭にある米を利用してパンを焼ける「GOPAN」
図1 家庭にある米を利用してパンを焼ける「GOPAN」
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 三洋電機は,米粒のまま投入するとパンができるホームベーカリー「GOPAN(ゴパン)」(品番:SPM-RB1000)を2010年10月8日に発売する(図1)。同社は米粉に対応した「米粉ベーカリー」を2003年から展開していたが,米粒をそのまま入れてパンが焼けるのは世界初としている。1斤分のパンを作るのに米粉を購入した場合は336円掛かるのに対し,家庭にある米を用いれば148円で済むという。価格はオープンだが,実売想定価格は5万円を切る程度とみている。

 手作り志向や食への安全の高まりから,国内のホームベーカリー市場は年々増加傾向にあり,「2010年に65万台,2012年には100万台を超える」(三洋電機 代表取締役社長 佐野精一郎氏)とする。佐野氏はGOPANを2010年度に6万台,2011年度には中国やアジア圏への輸出を開始し,国内と合わせて20万台程度を販売したいとした。

 GOPANの最大の特徴は,米を切削してペースト状にするミル機能を設けたこと(図2)。同社では4年前から開発を進めていたが,米をミルを用いて乾式で粉砕し,小麦粉と同様に75μm程度の粒度の粉にすることができなかった。米が硬すぎて細かくしようすると,ミルの刃が欠けてしまっていたとする。そこで,乾いたまま粉にするのではなく,米を水に浸し,軟化させてからペースト状にすることで問題を解決した。

 機器の開発で苦労した点は,ホームベーカリーにミルの機能を一体化させること。同社ではミル機能と,パン生地をこねる,いわゆる“こね機能”を一つのモータとモータ軸で実現した(図3)。具体的には,反時計回りに回転した場合は約6300rpmでミル羽根が,時計回りに回転した場合は約400rpmでこね羽根を回す機構とした(図4)。こね羽根はクランプを介して軸と接続してあり,反時計周りに回転する際にはこね羽根は回らない(図5)。このような機構を採用したのは「ミルを使っている際に,こね羽根が回ると材料が飛び散ってしまう」(三洋電機コンシューマエレクトロニクス)ためだ。モータには高回転が可能なミルに利用しているものを採用した。

 米から1斤のパンを作るには,ご飯を炊く際と同様に洗米した状態の米を220g,水を210gを用意する。加えて,砂糖16g,塩4g,ショートニング10g,グルテン10g,ドライイースト3gが必要である。全自動コースの場合,作業時間は約4時間である。GOPANには小麦成分を排除した「小麦ゼロコース」も装備する。その場合,小麦などの胚乳から生成されるタンパク質の一種であるグルテンの替わりに上新粉を利用する。GOPANにはこのほか,玄米や雑穀米などの米にも対応しており,全22種類のコ-スを用意した。

 GOPANの外形寸法は354mm×278mm×387mm。重さは約11kg。消費電力はミル時に450W,こね時に150Wである。外観色は白と赤の2種類を用意した。

図2 米をペースト状にするミル機能を搭載
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図3 ミル機能とこね機能を一体化
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図4 回転方向で機能を切り分け
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図5 こね羽根を一方向にしか回転させない機構を採用
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