図1●講演する塚本泰隆氏 Tech\-On!が撮影。スクリーンはリコーのデータで,高位合成を適用した回路規模が大きくなってきたことなどを説明。
図1●講演する塚本泰隆氏
Tech-On!が撮影。スクリーンはリコーのデータで,高位合成を適用した回路規模が大きくなってきたことなどを説明。
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図2●三つのSystemCモデル 今回,対象にしたのは,一番左の「仮想HWモデル開発」のSystemCモデルと,一番右の「動作合成用モデル開発」の同モデル。リコーのデータ。
図2●三つのSystemCモデル
今回,対象にしたのは,一番左の「仮想HWモデル開発」のSystemCモデルと,一番右の「動作合成用モデル開発」の同モデル。リコーのデータ。
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 SystemCや高位合成(動作合成)などを使う,SoCのシステム・レベル設計(いわゆるESL:electronic system level)が当たり前になってきた。少し前までは,「SystemCやC言語,高位合成が実際のチップ設計に使えるかどうか」という視点の講演が多かったが,最近は「使うのは当たり前」として,「どう使うか」の視点の講演が増えている。

 先週末の7月2日に米Open SystemC Initiative(OSCI)が新横浜で開催したセミナー「SystemC Japan 2010」でも,そうした講演を聞くことができた。例えば,ソニーは同グループで適用中のSystemC設計フローを紹介した。マージンを最小化することを目的に,システム・レベルで最適化を図る(Tech-On!関連記事)。ソニーの講演は同セミナーの最後にあったが,ユーザー講演のトップ・バッターだったリコーもSystemCの活用術について講演している。

 登壇したのは,リコーの塚本泰隆氏(電子デバイスカンパニー 画像LSI開発センター 設計技術室 シニアスペシャリスト)である(図1)。講演タイトルは「動作合成とバーチャル・プラットフォームの統合に向けて」である。同社では早くからSystemCを取り入れてLSI設計の効率化を図っているが,3種類のSystemCモデルを開発しており,「その重複を何とかしたいと思っていた。重複は基本的に無駄だからだ」(塚本氏)。3種類とは,(1)高位合成向けのモデル,(2)ソフトウェア設計向けのモデル(いわゆるバーチャル・プラットフォーム:VP),(3)システム・レベルの性能見積もり用モデルである(図2)。