ボリューム・ボタン
ボリューム・ボタン
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ボリューム・ボタンの裏側
ボリューム・ボタンの裏側
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A4チップ
A4チップ
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メイン基板
メイン基板
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Apple社がWWDCで公開したスライド
Apple社がWWDCで公開したスライド
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 分解が終了してホッと一息。部品の撮影に移る。その間に技術者の一人が,机の上から小さな部品を手に取った。
「これすごいね。普通ならプラスチックで一体成形で作るところを,金属で丁寧に作っている」
「確かに良くできている。高級感があるね」

 技術者が手にしたのは,ボリューム・ボタンだった。ボリュームの増減を調整するボタンのほか,バネ性を持たせるための部品が,金属板に接続してある。こうした細かな部品にまで手間を惜しまない米Apple Inc.のこだわりに,技術者たちは感心した。

 ボリューム・ボタンやAlのフレームなど,Apple社は外観に特に注意を払って設計したことがよく分かった。しかしその一方で,内部には必ずしも最先端の部品ばかりを使っているわけではなかった。内部と外部でメリハリをきかせているのである。例えば,内部には一昔前の大きさの部品もあった。

 一昔前の部品を使った理由の一つは,ほかの部品と高さをそろえるためである。技術者は,「iPhone3Gのときは,本来なら不必要な部分にも小型の部品を使っていた」と振り返る。それに対して今回は,「ほかの部品の高さを考慮して,必要な部分にだけ小型の部品を使っている。全体のバランスを見て部品を選択している」と,Apple社の設計の進化を語った。「まるで日本メーカーの製品のようだ」とも。

 Apple社の製品設計が日本メーカーに近付いていると技術者が判断したのは,部品の選択のほかに,モジュール化の進展やスペック重視などの変化を見てのことである。デザインや使い勝手で新規性を打ち出すのではなく,ハードの改良に注力している点が日本メーカーに近いというのだ。Apple社は,次の製品でもハードの改良に注力するのか。それともデザインや使い勝手で新規性を打ち出し,世の中をあっと驚かすことができるのか。注目である。

 これでひとまず,iPhone4の分解は終了となる。しかし,まだ不明な点は残っている。詳細は後日,日経エレクトロニクスやTech-On!の続報でお伝えする。

 なお,分解班が興味を持っていたiPadとiPhone4のA4チップの大きさは,同じだったことが判明した(関連記事)。そもそも,Apple社がWWDCで公開したスライドでは,異なるチップをA4として指し示していたのである。なぜだったのか…。

―終わり―