本体左下の黒いスリット
本体左下の黒いスリット
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上部と右下のスリット
上部と右下のスリット
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テスターで調べる
テスターで調べる
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本体左下(写真では右下)のスリットのやや下側で接続
本体左下(写真では右下)のスリットのやや下側で接続
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スピーカ・モジュール
スピーカ・モジュール
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 分解の直前に,iPhone4を左手で持つと受信状態が不安定になるというニュースが飛び込んできた。iPhone4は,側面部分が金属になっている。よく見ると,左下と右下,上部の3カ所に黒いスリットが入っている。このうち左下のスリットを手で覆うように持った際に,受信状態が不安定になるとされていた(関連記事)。

 分解班が手で左下のスリット部分を覆うと,アンテナの表示が徐々に減っていった。アンテナ5本の表示が4本へ,さらに3本へ。しっかりと覆うと,ついにアンテナは0本となり,圏外の表示が。元々受信状態が悪い場所だったかもしれないが,明らかにアンテナの表示が変化するのを確認できた。「Bumper」と呼ぶ米Apple Inc.のカバーを装着すると,こうした現象は現れなかった。

 分解前の技術者の予想では,スリットを境にアンテナとグランドになっており,そこを手で電気的につなぐことで受信状態が不安定になるとのことだった。立ち会った技術者と分解班は皆,この予想に納得した。

 すべての部品の分解が終了後,念のために黒いスリットで三つに分かれた金属部分をテスターで調べてみた。それぞれの金属部分が電気的に分離されていることを確認するためだ。ところが,予想を覆して,三つに分かれた金属部分は電気的につながっているという結果となった。テスターの調子が悪いのかもしれないということで,何度が試したが結果は同じだった。

 どういうことか。技術者はもう一度,分解した部品を調べてみた。その結果,アンテナ素子は本体内部に存在し,本体側面の金属部分は全体がグランドになっているとの新たな予想を披露した。左下スリットの近くにあるスピーカ・モジュールにアンテナ素子と見られる部品があり,そこから配線を介して筐体に接続してあった。このアンテナ素子と筐体側面のグランドで,3Gのアンテナを構成しているというのだ。

 配線を筐体と接続している部分が,左下のスリットのやや下側にある。このため,この部分を手で触れると受信状態が不安定になるとみられる。分解に立ち会った技術者は,このような結論に至った。果たして真相はどうなのだろうか。