今後急増が見込まれる，医療用途に特化した超低消費電力SoCの発表が「2010 Symposium on VLSI Circuits」（2010年6月16～18日，米国ハワイ州ホノルルで開催）のSession 2“Medical and Vision Processors”に相次いだ。米Texas Instruments Inc.（TI社）のμWオーダーで動作するプロセサ・プラットフォーム（論文番号：2.1），ベルギーIMECの心電図（ECG）測定用の信号処理プロセサ（同2.3），台湾National Taiwan Universityの脳波（EEG）測定用のプロセサ（同2.4）などである。半導体不況が叫ばれて久しいが，医療分野は，デバイスの使い捨てが想定され出荷量数が見込める点で，LSIの有望な市場の一つである。この用途で求められる長時間駆動を実現するには，超低消費電力が必須となる。この点から医療分野は，リーク電流が少ない，100nm以前のいわゆる“枯れたプロセス技術”のキラー・アプリケーションとなる可能性もある。基調講演直後ということもあってか，本セッションでは100人を超える聴衆が熱心に聴講と質疑を行っていた。
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