記者会見に出席した関係者。左から,マイクロソフト最高技術責任者の加治佐俊一氏,NVIDIA社VPで,日本法人代表のSteve Furney-Howe氏,東工大 教授の松岡氏,東工大・理事で副学長(研究担当)の伊澤達夫氏,日本ヒューレーット・パッカード 執行役員の山口浩直氏,NEC執行役員の丸山隆男氏。
記者会見に出席した関係者。左から,マイクロソフト最高技術責任者の加治佐俊一氏,NVIDIA社VPで,日本法人代表のSteve Furney-Howe氏,東工大 教授の松岡氏,東工大・理事で副学長(研究担当)の伊澤達夫氏,日本ヒューレーット・パッカード 執行役員の山口浩直氏,NEC執行役員の丸山隆男氏。
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TSUBAME2.0のノードの構成の概要。フラッシュ・メモリが含まれているのが特徴の一つ。
TSUBAME2.0のノードの構成の概要。フラッシュ・メモリが含まれているのが特徴の一つ。
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 東京工業大学は,2010年秋に稼働する予定で,同大学にとっての次世代スーパーコンピュータ・システムとなる「TSUBAME2.0」の技術的詳細を発表した。システムの演算容量は倍精度で2.39ペタ(P)FLOPS(関連記事)。2010年6月時点でのスーパーコンピュータのランキング「TOP500」では世界2位の水準で,「日本では初のペタ級,東工大としては初めて世界一の水準に並ぶシステムになる」(同大学 学術国際情報センター 教授の松岡聡氏)という。ただし,実際のシステム構築作業はこれから。これは,NECと米Hewlett-Packard Co.(HP社)が共同で担当する。

 システムは「ベクトル・スカラー混合アーキテクチャ」(松岡氏)である。ただし,グラフィクス処理LSI(GPU)の演算容量が全体の9割を占めるなど,ベクトル機としての特徴を色濃く示すものとなった。

 このため,実行性能は計算分野でやや異なる。具体的には,LINPACKベンチマークでの実行性能の達成目標値は,倍精度演算で1ペタ(P)~1.4PFLOPSと,2010年6月時点のTOP500の3~4位の水準。一方,気象予測などベクトル機に向いた計算では,これまでの世界記録である50テラ(T)FLOPSを大きく超える150TFLOPSが見込めるという。

ラック1台で「地球シミュレータ」を超える

 システムの基幹部分は,米Intel Corp.の2.93GHz動作で6コアのマイクロプロセサ「Xeon 5600」シリーズ(開発コード名「Westmere-EP」)2816個と,米NVIDIA Corp.のGPU「Tesla M2050」4224個から成る(日経エレクトロニクスの関連記事)。

 このTeslaは,単精度演算が主体だった従来のTeslaに対して倍精度演算性能を大幅に強化したもので,1個が倍精度515GFLOPSの演算性能を備える。「演算性能はノード1台(マイクロプロセサ2個とGPU3個)で1.6TFLOPS。ラック1台で51.2TFLOPSになり,当初の地球シミュレータを超えてしまう」(松岡氏)。

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