2010年6月3日,中国移動通信(China Mobile)が,早ければ2010年夏にも中国国内のいくつかの都市でTD-LTEの大規模試験を開始することが明らかになった。現在,同社は上海万博に併せて屋内と屋外の中規模な実験を進めている。TD-LTEは上り(端末から基地局)と下り(基地局から端末)に同じ周波数を使うLTEの方式。LTEは現在の第3世代携帯電話サービスの次世代通信技術である。

 大規模試験が行われる都市は現在選定中である。ただし,上海市と北京市が含まれるようだ。各都市で100以上の基地局を設置する。(1)ネットワークの動作検証や調整,(2)主要技術の検証,(3)基本性能の検証,(4)屋内に使う2.3GHz帯と屋外に使う2.6GHz帯を共存させた場合の技術検証,(5)携帯電話事業者のオペレーション,(6)サービスやアプリケーション,端末の検証,(7)ユーザーの使い勝手の検証,などを狙いとする。

 また,中国政府の工業和信息化部はこれに先立つ形で「2010年7月にTD-LTE端末用のチップセットの試験を行う」(同部Ditector GeneralのKu Wen氏)。大規模試験には,基地局ベンダーとして,仏Alcatel-Lucent社や中国の大唐移動(DTmobile)社,スウェーデンのEricsson社,中国の華為技術(Huawei Technologies)社,米Motorola社,フィンランドのNokia Siemens Network社,中国ZTE社などが参加すると見られる。また,端末向けチップは,中国Chongqing CYIT Communication Technologies社,Huaweiの半導体子会社のHISILICON, 中国Innofidei社,米Qualcomm社,仏Sequans Communications社,韓国Samsung Electronics社,仏ST-Ericsson社,カナダWavest社,ZTE社などが提供することになりそうだ。TD-LTE通信サービスの商用化は,早ければ2011年後半に始まるもようだ。