図1 75型のレーザ・リアプロ・テレビの試作機
図1 75型のレーザ・リアプロ・テレビの試作機
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図2 55型の液晶テレビの試作機
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 三菱電機は2010年5月31日,3次元(3D)映像を表示可能な「3Dテレビ」の国内での販売計画を明らかにした。夏ごろに75型のレーザ・リアプロ・テレビを,秋以降に液晶テレビを発売する予定だ。共に,3D映像の表示に,液晶シャッター搭載メガネを用いる「フレーム・シーケンシャル方式」を採用する。同社は2007年夏以降,米国で3Dテレビを販売してきた実績がある。累計販売台数として,「2010年度中には100万台を超える。3D元年といわれる2010年,日本においても3Dテレビを投入する」(同社 京都製作所 所長の阿部正治氏)。

 国内市場の第1弾として投入予定の75型のレーザ・リアプロ・テレビは,国内市場としてはかなり画面寸法が大きい。これは,「3Dテレビをリビングで楽しむための絶対条件は大画面」(三菱電機の阿部氏)との考えによる。第2段である液晶テレビについては,「テレビを3Dに対応するだけでなく,内蔵Blu-ray Disc,内蔵HDDも3Dに対応させる。これ1台で3Dを楽しめる“オール・イン・ワン”テレビとして投入する」(同氏)。

3Dテレビの試作機を披露

 三菱電機は,開発中である3D対応の75型のレーザ・リアプロ・テレビと,55型の液晶テレビを披露した。75型のレーザ・リアプロ・テレビは,表示素子に米Texas Instruments Inc.の「DLP(digital light processing) Pico」を用いる。画素数は1920×1080。DLPは,「液晶パネルやPDPに比べてケタ違いに応答速度が速い。これにより,3Dテレビの最大の課題である(右目と左目の映像が交ざり合う)『クロストーク』の発生を最小限に抑えることができる」(同社の阿部氏)。試作品の駆動周波数は120Hzであり,左目用と右目用にそれぞれ60フレームを割り当てている。さらに,「3D映画の多くは,DLPが使用されている。3DとDLPの親和性は高いといってもいい」(同氏)。このほか,レーザ・リアプロ・テレビの利点として色再現範囲の高さを挙げる。開発品の色再現範囲は明らかにされていないが,「2008 International CES」で披露された65型品は,色再現範囲がNTSC規格比で190%と高い(Tech-On!の関連記事)。

 一方,55型の液晶テレビの試作機は,画素数が1920×1080。駆動周波数は240Hz駆動である。バックライトは,白色LEDをパネルの側面に配置した「エッジライト型」。左目用と右目用それぞれ60フレーム/秒の入力映像を表示する場合,左目用と右目用にそれぞれ入力映像信号と同じフレームを2枚連続で表示する。左目用または右目の映像のみが表示されるタイミングでのみバックライトを点灯することで,クロストークの発生を抑えたという。想定する画面寸法は,「40型以上の大型品を投入する」(三菱電機の説明員)という。