2010年6月1日に開催する「AUTOMOTIVE TECHNOLOGY DAYS 2010 summer」の専門セッション「B-2 電池・充電技術II」では,ポストLiイオン2次電池を狙う革新的な電池や,車載電池を非接触で充電できるワイヤレス給電技術といった次世代技術の最新動向を紹介する。

 次世代電池の取り組みについては,トヨタ自動車が「革新型二次電池への期待」,サムスン横浜研究所が「全固体リチウム電池の実用化研究」と題して講演する。トヨタ自動車は2008年6月に革新的な電池を開発する基礎研究部門として「電池研究部」を新設し,基礎研究を活発化させている。同社にLiイオン2次電池の新規材料や全固体電池,Li空気電池などの研究事例を紹介して頂くとともに,ブレイクスルーに必要な要素技術は何かを解説してもらう。

 サムスン横浜研究所は,Ni系正極材と硫化物系固体電解質を用いた開発品で,実用レベルに近い出力特性と電解液系と同等以上の良好な寿命特性結果を得ている。全固体電池を実用化させるための要素技術の開発について紹介してもらう。

電磁誘導,磁界共鳴,マイクロ波の3方式を解説

 一方,ワイヤレス給電技術では,昭和飛行機工業と三菱重工業,東京大学が講演する。ワイヤレス給電技術は現在,電磁誘導,磁界共鳴,マイクロ波の3方式に大別できる。昭和飛行機工業は,電磁誘導方式によるワイヤレス給電システムを電動バスなどへの応用を進めているほか,日産自動車との共同開発を進めている。さらに,磁界共鳴技術を用いたシステムの開発にも取り組んでいる。

 三菱重工業はマイクロ波を用いた充電システムを開発している。電力をマイクロ波に変換する装置に,電子レンジで使われているものと同じ2.45GHzの電波発生装置「マグネトロン」を使用することで,充電システムの低コスト化が可能とする。

 東京大学からは,長距離の伝送が可能な技術として注目を集めている磁界共鳴方式について基本を解説しつつ,最新の研究成果を紹介する。