田中栄氏 Tech-On!が撮影。スライドはアクアビットのデータ。先進国と新興国で,食料や資源などの取り合いが始まる
田中栄氏 Tech-On!が撮影。スライドはアクアビットのデータ。先進国と新興国で,食料や資源などの取り合いが始まる
[画像のクリックで拡大表示]

 Tech-On!は,5月14日に東京でセミナー「市場変化を捉えてビジネスチャンスを切り開く」を開催した。このセミナは,4月から始まった「Tech-On!プレミアム」サービスの会員を対象にしている。最初に登壇したのは,『未来予測レポート』シリーズ(日経BP社刊)の著者の田中 栄氏(アクアビット代表取締役 チーフ・ビジネスプランナー)である。

 同氏の講演のタイトルは「サスティナビリティとブローバンドが迫る「モノづくり」の変革」だった。サスティナビリティは最近よく使われる言葉で,その意味は文字通り「持続性」である。同氏が指摘したように,サスティナビリティは地球環境やエコと同じように認識されることが多い。実際,同氏がさまざまな企業を訪問して議論すると,9割の企業が「サスティナビリティ=地球環境」と考えているという。

 今回の講演で,同氏が強調したのが,「サスティナビリティは地球環境問題ではない」である。もっと重要な問題だとする。すなわち,「我々がこれまで通りに生きていけるかどうか」である。それを困難にする最大の要因は,人口の爆発的な増加。人類が誕生してから10数万年かかって,1950年に世界人口は25億人になった。それからわずか27年後の1987年には,2倍の50億人に膨れ上がった。そして,2050年には92億人に達すると予測される。

 人口が増えれば,食料や鉱物資源など,あらゆるものの消費が増える。これまで,それらを先進国に供給してきた新興国は,内需に回すようになる。先進国の人間がこれまで通りに生きていくこと,すなわちサスティナビリティの確保は難しくならざるを得ない。

 田中氏の講演タイトルでサスティナビリティの次に出てくる「ブロードバンド」は,初期のブロードバンド,すなわち「有線のパソコン接続」ではない。「ユビキタス」や「クラウド」という言葉で説明されることが多い,「どこにいても同じコンテンツを見ることができる」を意味する。

 この後,同氏の講演は,新しい方のブロードバンド化と,サスティナビリティの確保の必要性により,あらゆる産業が変革を迫られているという内容に移った。エネルギー分野,自動車分野,エレクトロニクス分野の三つを採り上げて,同氏が予測する変化を説明した。テレビはどうなるのか,自動車はどうなるのか,発電事業はどうなるのか,などなど。

 同氏の講演全体は,Tech-On!プレミアム・サービスの会員を対象にした,ビデオ配信サービスで見ることができる。Tech-On!プレミアム・サービスのご案内はこちら