(左から)シャープの大畠昌巳氏,Microsoft社のRoz Ho氏,シャープ,パーソナルソリューション事業推進本部,本部長の今矢明彦氏
(左から)シャープの大畠昌巳氏,Microsoft社のRoz Ho氏,シャープ,パーソナルソリューション事業推進本部,本部長の今矢明彦氏
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 米Microsoft Corp.のSNSに特化した携帯電話機製品群「KIN」(Tech-On!関連記事その1)の端末はシャープが製造している。実は,以前,シャープは,Microsoft社が2008年2月に買収すると発表した米Danger, Inc. (Tech-On!関連記事その2)の携帯電話機「Sidekick」(Tech-On!関連記事その3)を製造していた。従って,KINで両社が協力するのは自然な流れに見える。

 さらに,シャープは,KINの報道機関向けイベントで,Microsoft社との協力関係は今後は携帯電話機にとどまらない可能性があるとの考えを示した。「今回,Microsoft社と協力したのは,ハードウエアの革新的なデザインや機能だけでなく,サービスやコンテンツを含む全体的なソリューションの提供が重要と考えているからである。今後はMicrosoft社と,当社の得意な技術,例えば太陽電池や3次元技術(Tech-On!関連記事その4)を組み合わせて,クラウド・サーバー・サービスなどの新しい分野を積極的に開拓したいと考えている」(シャープ 情報通信事業統轄兼通信システム事業本部長兼執行役員の大畠昌巳氏)。

 KINについて,シャープは端末を製造するだけではなく,タッチ・スクリーンの液晶ディスプレイやカメラのフラッシュ用LEDといった部品も供給している。「KINのユニークなデザインを実現するために液晶ディスプレイをカスタマイズする必要があった」(大畠氏)。加えて,KINは,シャープが米NVIDIA Corp.のプロセサ「Tegra」を採用した最初の製品になるという。「Tegraは画像処理能力が極めて高い」(同氏)としている。

 KINの端末価格は,今回,未公表とした。イベントに同席したMicrosoft社,Premium Mobile Experience,Senior Vice PresidentのRoz Ho氏は「この端末はコストをかなりシビアにして設計した」という。以前,シャープが製造したSidekickは比較的,低価格にした。今回のKINでも積極的な価格戦略を採ると見られている。

 KIN端末が採用しているOSは,Microsoft社の「Windows Phone 7 Series」である。シャープが今後,他の携帯電話機でもWindows Phone 7 Seriesを採用する可能性があるという。

 シャープは2008年11月に,海外向けの携帯電話機事業を強化する戦略を打ち出している(Tech-On!関連記事その5)。この発表当時は,主に中国市場を想定していたが,「このKIN端末は我々の欧米市場への再参入のために重要な製品だ」(大畠氏)という。