今回購入したiPadは680gである。ノート・パソコンに比べれば軽いが,iPadを操作した人の多くは「重い」と言う。その理由は二つ考えられる。第1は,使用時にiPadの画面と自分の眼を正対させる必要があるため。100g台の携帯電話機なら女性の握力でも楽に保持できるが,680gのiPadではそうはいかない。iPadをすぐ太ももの上に置いて使いたくなる。

 ただし,手や太ももでiPadを保持しながら動画を見たり,アプリケーション・ソフトを操作したりすることは楽しい。パソコンでは味わえなかった何かを感じる。パソコンは自分から離れた外側のモノを操作しているような感覚だが,iPadにはそれがない。
―――バイク乗りにしか分からない表現しかできず申し訳ありませんが,それでも書いてしまいますと―――レーサーレプリカやスポーティーなネイキッドを運転したときに感じる,エンジンを腹の中に抱えるようにして疾走する気持ち良さに,iPadの操作感は近い。

 ユーザーが重いと感じる第2の理由は,グリップなどの指がかかりやすい場所がないためだろう。実際,重いと言った人の多くは「落としてガラスを割ってしまいそう」とも漏らしていた。Al合金の筐体背面に「グリップを付けたら,きっと格好悪くなる。そんなのSteve Jobsが許すわけがない」(分解に参加した技術者)。日本メーカーだったら,おそらくグリップは必須になるが,Apple社ではデザイン上,許されないのだろう。

 では,実際に落としたらどうなのか。詳細は日経エレクトロニクスの5月3日号に掲載するつもりなのだが,今確実に言えるのは相当丈夫であることだ。机の上から薄手の絨毯の上に落としたり,体重をかけたくらいではびくともしない。分解後,筆者は同僚から携帯機器のガラスの耐久性が一般に,近年向上していることを教えてもらった(リンク先の記事にあるガラスがiPadに使われているかどうかは全く分かりません)。

 ただ,耐久性を高めたツケは必ず払わなければならない。それが重さだ。iPadの部品では,上部筐体(タッチ・パネルを接着させたガラス)が最も重い部材だった。分解当初,技術者達は2次電池モジュールが最も重いのではないかと予想していたが,それが外れる結果となった。

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