NVIDIA社の「Tegra」SoCと「Silverlight」を採用
今回発表したKINは，2種類ある。「KIN ONE」は4Gバイトのフラッシュ・メモリと500万画素のカメラを搭載する。「KIN TWO」は8Gバイトのフラッシュ・メモリと800万画素のカメラを備える。両機ともに，米NVIDIA Corp.のSoC「Tegra」を搭載する。静電容量方式のタッチスクリーンやスライド型QWERTYキーボード，LEDフラッシュといった機能は共通だ。「こうした機能を小型でユニークな筐体に組み込むのは，非常にチャレンジングだった」（シャープ，情報通信事業統轄兼通信システム事業本部長 執行役員の大畠昌巳氏）。Microsoft社の「Windows Phone 7 Series」（Tech-On!関連記事）をベースに開発した専用OSを用いる。アプリケーション・ソフトウエアの実行環境には，同社の「Silverlight」技術を採用する。Microsoft社の担当者は，「KINはSilverlight対応の最初の携帯電話機である」としている。
KINの特徴は，第三者が開発したアプリケーション・ソフトウエア（以下，アプリ）を携帯電話機にダウンロードする機能よりも，Microsoft社が用意した携帯電話機搭載のアプリやWebサービスをベースとしたSNSサービスの利用を重視していることだ。「この携帯電話機では,SNSを頻繁に利用するユーザーへの訴求を目指している。SNSをよく利用するユーザー層は，技術に関する期待が高いという傾向がある。こうしたユーザーは，携帯電話機やパソコンなどで容易に利用できるサービスに期待している」（同社，Entertainment and Devices Division，PresidentのRobbie Bach氏）。
「Spot」で携帯電話機やパソコンの間でコンテンツを共有
KIN関連の主なアプリ環境は，「KIN Loop」と呼ぶ携帯電話機のホーム・スクリーン上に表示させるアプリと，携帯電話機のコンテンツをパソコン上で処理する「KIN Studio」で構成する。KIN Studioは，SilverlightのWebアプリケーションである。KIN Loop側で， SNSで受信したメッセージや写真などのアップデート情報を自動的に表示する。KIN Studioは，端末側で撮影された写真や動画（低画像度），メッセージなどのコンテンツを同期して，パソコン側で表示できる。端末とパソコンの間の物理的な接続には，無線接続のほか，USBケーブル経由で端末をUSBケーブルにパソコンに接続して，端末の高解像度の動画コンテンツなどをパソコンで表示することも可能である。
両方のアプリの共通点は，アプリ内に丸形の「KIN Spot」という特定領域を設けていることである。ユーザーは，共有したいコンテンツをドラッグ・アンド・ドロップ方式で，このKIN Spotに移動する。この動作により，自動的にユーザーが希望する他のユーザーと，コンテンツを共有できる。
KINはMicrosoft社の「Windows Live」以外に「Facebook」や「MySpace」，「Twitter」のSNSに対応している。音声や動画コンテンツ配信として，Microsoft社の携帯型メディア・プレイヤー「Zune」向けのコンテンツのオンライン店舗「Zune Marketplace」や音楽のサブスクリプション・サービス「Zune Pass」にも対応している。ただしKINは，従来の一般的なスマートフォンのように第三者が開発したアプリを導入する機能は備えていない。Microsoft社によると，今後，ユーザーの意見を反映させながら，KINに追加する機能を決めるという。こうした追加機能は自動的にOTA（over the air）方式で，KIN端末にアップデートされる見込みだ。
Microsoftのスマートフォン「KIN」のデモ（約3分56秒の動画）
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