図1 直嶋経産相が意気込みを語る
図1 直嶋経産相が意気込みを語る
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図2 東芝 代表取締役社長の佐々木則夫氏
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 官民でスマートグリッドに向けたビジネスを推進する「スマートコミュニティ・アライアンス」の設立総会が開催された(Tech-On!関連記事)。会場の経団連会館には500人以上の参加者が集まり,立ち見が出るほどの盛況となった。設立総会には経済産業相の直嶋正行氏が登壇し,スマートグリッドに向けた意気込みを語った。

 直嶋氏はまず,「スマートグリッドは欧米のみならず,中国やインドでも強い関心を持たれている」とし,日本から世界に技術を売り込むことの重要性を述べた。その上で,「我が国は要素技術に優れているが,国際的に通用するシステムとして提案することには課題がある」(直嶋氏)とし,今回のアライアンスの設立により多くの企業が団結する意義を示した。「単体ではなく,機器をつなぐシステムの設計と運用,ファイナンス,プロダクト・サポートなどを一つのシステムとしてまとめて売り込まないと受注は取れない。さらに,スマートグリッドは,これにつながる自動車や家電といった我が国の稼ぎ頭である産業の将来を左右するインフラだ。国と産業界は全力で,世界市場における我が国のプレゼンスを高めていかねばならない」(同氏)と述べた。

 直嶋氏は,国際的な競争に打ち勝つには三つのことが重要になると考えている。第1に「異業種連合」である。システムの輸出に関わる様々な企業が業種の壁を越えて緊密に連携しなければならないとする。「特に大切なことは,多様な主体をまとめるプロジェクト・リーダーの存在だ。このメンバーの中からそうしたリーダーが輩出されることを期待する」(直嶋氏)と述べた。

 第2に「現地主義」である。地域により必要とされるシステムが異なるためだ。直嶋氏は,「現地政府からの信頼を獲得し,地域社会にとけ込み,現地の市民に愛され,息の長い取り組みが必要となる」との認識を示した。第3に「技術力の強化」である。「技術なくしてビジネスは取れない。国内外での実証を通じて,我が国の強みであるエネルギーや環境技術に磨きをかけ,常に世界をリードし続けなければならない。それと同時に,戦略的に国際標準化を進め,技術の強みをビジネスの獲得につなげる必要がある」(直嶋氏)という。最後に直嶋氏は,「リスクマネーの投資など,経済産業省は全力を挙げてサポートする」と結んだ。

東芝社長,「280社の総力を挙げてサポート」

 設立総会では同アライアンス会長に就任した,東芝 代表取締役社長の佐々木則夫氏も登壇した。その佐々木氏は講演後,報道陣に「アライアンスの役割は,新幹線の売り込みなど,1企業では進めきれない案件をこの約280社が総力を挙げてサポートすること。加えて,これまで欧州などに主導権を奪われていた国際標準化の分野でも日本企業を支援していきたい。ただし,ナショナリズムにこだわるのではなく,日本に優れた技術があれば,それを世界に提案して良さを分かってもらうという立場だ。必要なら日米連合などもありえるだろう。win-winの関係を目指していくのが重要だと思っている」と述べた。