図 ウィルコム再生支援のスキーム。XGP事業と基地局ロケーションをソフトバンクなどが出資する新会社に譲渡する
図 ウィルコム再生支援のスキーム。XGP事業と基地局ロケーションをソフトバンクなどが出資する新会社に譲渡する
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 2010年3月12日,ウィルコムの再生支援の枠組みが固まった。ソフトバンク,アドバンテッジパートナーズが提供するファンド(以下,APファンド),企業再生支援機構とウィルコムの4社が基本合意を締結したと発表した(発表資料)。同年2月に会社更生法の適用を申請したウィルコム(Tech-On!の関連記事)はPHS専業となり,ソフトバンクとAPファンドなどの出資で設立する新会社がXGP事業と基地局ロケーション(基地局設置場所の使用権)を譲り受ける()。

 新会社には,ソフトバンクが30億円,APファンドが50億円(うち20億円は議決権を持たない優先株),その他の出資者が30億円をそれぞれ出資する。新会社がウィルコムに10億円を支払い,事業譲渡または会社分割の形でXGP事業と,基地局ロケーションの大半を譲り受ける。新会社は,ウィルコムに割り当てられた2.5GHz帯の30MHz幅を使った広帯域無線ブロードバンド事業を展開する。ウィルコムがMVNO(mobile virtual network operator)として新会社のサービスを使うことも検討する。

 PHS専業となるウィルコムは,再生計画の認可後に既存株主の株式を100%減資で償却した後,新たにAPファンドから3億円の出資を受ける。また,企業再生支援機構や銀行などが事業運営に必要な資金として最大120億円を融資する計画である。ウィルコムは新会社に譲渡した基地局ロケーションを共用することで,PHS事業の固定費を削減する。

 ソフトバンクは,ウィルコムのPHS事業のコスト削減にも協力する。具体的には,ネットワークの効率化や顧客サポートの運営に関する業務委託契約をウィルコムと締結する予定である。