―― その1その2からの続き ――

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 次の「三種の神器」は何かを考えるには,思いつきに頼るよりも,環境や技術の変化に注目すべきでしょう。40年ほど前からさまざまな変化が始まり,やがてパソコンという従来とは異なるアーキテクチャのエレクトロニクス機器が登場しました。そして1990年代半ばにはインターネットが出てきた,という状況があります。

 こうした変化が,放送業界や通信業界,コンテンツの流通に大きな革命をもたらしつつあります。デジタル化が始まった当初に気付いていた人は多くなかったと思いますが,アナログからデジタルに変わるということは,コンテンツもデジタル化されるということです。音楽や映像,最終的には書籍などもすべてデジタル化されて流通するようになります。

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 こうした変化が業界をまたいで起こっていますから,次の三種の神器は「放送」「通信」「コンテンツ流通」の三つにインパクトを与えるものであるはずです。ただし,枠組みの変化とデバイスには,ニワトリと卵の関係があります。今までの放送の枠組みをぶち壊してインターネット経由でテレビを見る,というのは素晴らしい話ですが,これはそう簡単には起こりません。消費者が光ファイバをつないだセットトップ・ボックス(STB)でテレビを見るかというと,なかなか見ない。ユーザーの長年の行動パターンはなかなか変わらないからです。また,そこで流すコンテンツをどうするかという問題もある。利権の問題もあるでしょう。従来のテレビのイメージが残っている限り,なかなか難しい。

 だからといって,あきらめてはいけない。デジタル・カメラやDVDレコーダーも,変化を起こすことをあきらめなかったからこそ普及したのです。今度も誰かがリスクを負って,「放送革命」「通信革命」「流通革命」という三つの新しい改革を進めていかなければならない。今までのユーザーの行動パターンを変える,もしくは業界の既得権をぶち壊してでも新しいニーズを作る,という意志が込められたデバイスやサービスが,今後の三種の神器になるはずです。