【DATE 10】IBMのZurich研ら,LSIの3次元実装の液冷最適化の効果をシミュレーション
複数のLSI(チップ)を縦積みして一つのパッケージに収める,3次元実装が注目されて久しい。本格的な普及にはいくつかの課題があるが,その一つが放熱である。ドイツのドレスデンで開催中の「DATE 10(Design, Automation and Test in Europe 2010)」では,放熱手法として液冷を採用した場合に,その最適化を図る手法についての提案があった。
この手法は,米国と欧州の四つの機関が共同で提案した。提案したのは,米Boston Universityと,スイスEcole Polytechnique F´ed´erale de Lausanne,米University of California San Diego,そしてスイスIBM Research GmbH, Zurich Research Laboratoryである。セッション2.7で「Energy-Efficient Variable-Flow Liquid Cooling in 3D Stacked Architectures」というタイトルで発表された。
発表者によれば,これまでにもLSIの3次元実装の放熱に液冷を使う提案はあったが,基本的にワースト・ケースを想定して冷却していたため,液体を循環させるポンプを稼働させるエネルギーが無駄になるなどの課題があるという。
今回提案した手法の基本原理は珍しくはない。チップの温度をモニタして,それによって液冷の動作を制御する(液体の流速を変える)という帰還システムを作る。これでポンプの稼働エネルギーを最適化すると共に,複数チップ間の温度差の最小化を図る。
今回の発表では,液冷システムをハードウエア的にどのように実装するかについては説明があまりなかった。その代わりに,液冷を最適化することで,どの程度の効果があるかをコンピュータ・シミュレーションした結果が発表された。複数のロジックLSIを縦積みする場合を想定してシミュレーションは実施した。
いくつかの結果が紹介され,結論は,「ワースト・ケースを想定した液冷に比べて,帰還系によって最適化した液冷では,ポンプの稼働エネルギーを30%,そしてトータルで12%のエネルギー削減が図れる」とした。上述したように,ハードウエア的な実装など,細部まで検討していないように思われる部分もあったが,「3次元実装は遅延時間だけでなくエネルギーも削減できる」という発表者の言葉には,若い研究者らしい明るい夢が感じられた。












