「何でも揃うIPコア・ベンダーを目指す」,NXP社からIP開発部門を買収したVirage社に聞く
IPコア・ベンダーの米Virage Logic Corp.が,ユニークな動きを見せている。2009年11月には,オランダNXP Semiconductors NVからCMOS IPコアの所有権と開発人員,設備を買収している。同じく2009年11月に,Virage社は,コンフィギュラブル・プロセサの英ARC International社の買収も完了している。買収活動を活発に進めるVirage社のVice President and General Manager,Processor,SoC and NVM SolutionsのYankin Tanurhan氏に,事業戦略を聞いた。
問 NXP社からはどのような種類のIPコアを譲り受けたのか。
Tanurhan氏 入出力用IPコアのほか,アナログ・ミックスド・シグナル,メモリ,ロジック,SoCインフラストラクチャ(バス,コントローラ,ネットワーク・オン・チップ)などである。買収に伴い,NXP社の従業員約150名もVirage社に移った。
NXP社(旧Royal Philips Electronics社)はこれまで,大手半導体メーカーの中では先行して構造変革に取り組んできた。同社は,1970年代には自ら半導体製造装置を手掛け,1980年代初頭まではEDAツールを自ら開発していたが,それらをいち早く売却した。ウエハー生産についても,他社に先んじて外部企業に委託している。そして,ここにきて,NXP社は,IPコア開発や半導体設計についても,外部の企業に任せる方向へと一歩を踏み出したのである。今後,同様の動きが他社にも広がっていくと我々は考えている。
問 NXP社のIP開発部門,ARC社と,Virage社は買収活動を積極的に進めている。Virage社の狙いを聞きたい。
Tanurhan氏 我々は,SoC(system on a chip)設計に求められるIPコアが何でも揃っている,いわゆる「ワンストップ・ショップ」のIPコア・ベンダーを目指している。そのために,自社にない技術を持つ会社を買収している。EDAツール業界においては,米Synopsys,Inc.や米Cadence Design Systems,Inc.がワンストップ・ショップと言える存在で,我々もIPコア業界において同様の方向を目指す考えだ。
問 ワンストップ・ショップのIPコア・ベンダーが生まれると,顧客である機器メーカーはどのようなメリットを享受できるのか。
Tanurhan氏 IPコア・ベンダーとの契約は複雑な手続きが必要になることが多い。いったん契約した後も,やりとりが複雑になる場合が少なくない。こうした理由から,IPコア・ベンダーの中には,技術者の数より弁護士の数の方が多いところもある。ワンストップ・ショップのIPコア・ベンダーと取り引きすれば,顧客は複雑な契約手続きから解放され,結果,IPコアの調達などのコストを削減できる。IPコア業界では,さまざまなスタートアップ企業が生まれている。ともするとニッチな業態の企業が多くなるので,包括的な製品群を持てるワンストップ・ショップのベンダーが必要と我々は考える。
問 世の中には多数のIPコア・ベンダーが存在する。Virage社はどういう基準で買収対象企業を選んでいるのか。
Tanurhan氏 買収対象になるかどうかは,いかに早く,我々の事業収益に対してプラスの貢献ができるかを考慮して決めている。ただ優れた技術を持つというだけで買収するのではなく,IPコア事業がきちんとビジネスとして成立している企業を選んでいる。こうした企業買収の効果により,2009年には4740万米ドルだった我々の売上高を,2010年には1億米ドルへと約2倍に増やすことを目指している。













