会場となったコンベンション・センター
会場となったコンベンション・センター
[画像のクリックで拡大表示]
講演の様子
講演の様子
[画像のクリックで拡大表示]

 「SPIE Advanced Lithography 2010」が2010年2月21~25日に米国サンノゼで開かれた。例年2000人程度の参加者を集めていた会議だが,2009年は急激な景気後退の影響を受けて参加者数がほぼ半減した。2010年は30%ほど持ち直したと聞くが,それでも往時には達していない。例年は月曜日から金曜日の5日間だったが,2010年は木曜日までの4日間となり,キーノート講演や展示会も小さい会場に移った。キーノート講演で見る限り,700~800人程度と,2009年とほぼ同程度の人数だった。その中で,発表の過半数を占めるEUVリソグラフィについて2回に分けて報告する。第1回は今回は,全体の傾向,露光装置,光源について報告する。

セッションが独立したEUVリソ盛況,論文数は50%増

 EUVリソグラフィは,以前は「Emerging Lithography」,2009年は「Alternative Lithography」の中の一つの技術だった。しかし,EUVリソグラフィの発表が過半数を占める状況を受けて,2010年から「EUV Lithography」として単独のセッションになった。その結果,光とEUV以外のリソグラフィ技術が「Alternative Lithographic Technologies」として分類されている。

 EUVリソグラフィの発表件数は着実に増加しており,今回は2009年比で約50%増加した。口頭発表で62件,ポスター発表で66件があり,その他にレジストのセッションの中にもEUVレジストの発表が組まれている。月曜日から木曜日の4日間とも発表があり,全部で6件あった招待講演(2009年までのキーノート講演に相当)では300人収容の会場に立ち見が100人近く出る盛況だった。

EUV露光装置開発はASMLとニコンで大きな差

 EUV露光装置開発におけるオランダASML HOlding NVとニコンの取り組み姿勢に大きな差が生じている。またキヤノンのEUV露光装置開発に関する発表はなかった。

 ASMLのC.Wagner氏は,2010年から出荷予定の初期量産用露光装置「NXE:3100」(開口数(NA)=0.25)を6台受注していることを明らかにし,その開発状況を発表した。光源は米Cymer, Inc.のLPP(laser produced plasma)を使用する。スループットについては,現在は15枚/時相当(20W)だが,今後改善して目標の60枚/時(100W)を達成するとした。光学系の研磨技術も着実に向上しており,フレアを4%に低減できたという。多くの写真を使い,精力的に生産を進めていることを示した。また,22nmの本格的量産機「NXE:3300B」(NA=0.32,2012年出荷予定)についても,その研究開発が順調に進んでいることを報告した。同じ投影光学系を使いながら照明系を改良した「NXE:3300C」で16nmに対応していくという。

 一方ニコンのMiura氏は,ArF液浸リソグラフィを使ったダブル・パターニング技術(DPT)を検討した結果,22nm世代に適用可能と判断し,量産向けEUV露光装置の開発は16nm世代にシフトすると発表した。2009年の本会議ではNA=0.25の初期量産装置(ASMLのNXE:3100相当)をスキップし,直接NA>0.3の量産装置に進む可能性を発表したが(Tech-On!関連記事),今回はさらに先送りして16nm世代でのEUV露光装置投入を目指すという。光学系は,NA=0.3で設計できているが,この光学系では複数世代(16~11nm)への対応を目指すためには不十分であり,NA>0.4の光学系を開発すると述べた。そのため,投影光学系のミラー枚数は現在の6枚から8枚となる可能性が高いとした。