記者会見に臨んだ,トヨタ自動車代表取締役社長の豊田章男氏(右)と,代表取締役副社長の佐々木眞一氏
記者会見に臨んだ,トヨタ自動車代表取締役社長の豊田章男氏(右)と,代表取締役副社長の佐々木眞一氏
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 2010年2月17日に開かれた,トヨタ自動車の品質問題に関する記者会見の質疑応答の内容を報告する(質疑応答の序盤終盤)。質疑応答が中盤に差し掛かっても,依然として米国議会の公聴会に関する質問が多い。「米国の議会や消費者の前で説明する覚悟はあるのか」という,半ば説教のような記者の質問に対して,同社代表取締役社長の豊田章男氏が耳を傾ける形になったシーンも見られた。

 同日の記者会見に臨んだのは,豊田氏と,同社代表取締役副社長の佐々木眞一氏である。

(NHK)私は,販売店に行って「プリウス」の改修の様子を取材してきたのですけれども,お客さんの話も聞きました。で,例えばブレーキという,さっきも社長ありましたけども,「ブレーキという一番大事なところだから,きちんと十分配慮してほしかった」とか,あるいは「世界一を死守したくて,売ろう売ろうとした気持ちが先走ったのではないか」とか,まあそういう厳しい意見もあったのですけど,多かったのがですね,クルマそのものということよりも,例えば「トップの会見が,記者会見が遅い」とか,「その後の対応が後手後手になったということが,今回のような問題につながっていったのではないか」という意見がかなり多かったのですね。そういう声に,ユーザーの声に対してどのようにお答えられるのか,で,指名されたらどのようにお答えしていただけるのか,あらためてですね。

豊田氏の回答

 はい,今回の件に対しまして,私の行動が遅かったこと,大変これはもう,そうやってしまったことですので,大変申し訳ないというふうに思っておりますし,今こうして出てきております。ぜひともですね,決してその逃げようとかいうことで会見を遅らせてたわけではございません。しっかりと社内でやっているわけでございますが,その後ですね,後,どういうふうな行動に移っておるかというようなことを,ぜひとも見ていただけるのであれば,長い目で見ていただきたいというふうに思っております。

 また,そのお客様とかですね,皆様方に,本当に私の登場が遅かったが故に大きな問題にしたということであることは,私も真摯にですね,反省をし,これからの対応に結び付けていきたいというふうに思っております。

(経済界)今回のですね,ブレーキの問題とは別にですね,あの昨年(2009年)夏ぐらいからですね,結構安全と関係ない部分でですね,プリウスのマイナートラブルっていうのが結構現場の方に上がってきていてですね,それでただ大人気車種なので,まあ納車も半年待ちとかそういう状況なので,生産の方を優先して,補修部品に通常交換するような場合もですね,交換せずにそのまま流しちゃったみたいなちょっと現場の声も一部出ているのですけれども,こういう状況は本当にあったのかと。で,もし上層部,トヨタの上層部の方がですね,こういう状況を認識しておられたならですね,これについてどう思うか,ちょっとお聞かせ願いたいのですけども。

佐々木氏の回答

 あの,そのようなことは全くないと信じております。確かにプリウスは大変人気をいただいて,生産も全部で4ラインで造るような人気車種でございますので,まあ皆さんから見ると大変忙しいだろうということですけれども,我々はその,標準作業が守れないようなライン構成はせずにですね,逆に言うと粗製乱造して納期を短くするということができないものですから,皆さん方に半年もお待ちいただくということになってしまっている。

 決して能力以上の生産の構えをするということはございませんし,ましてや交換部品がないからそのまま付けて出せなんて,そんなことをトヨタの社員がやるとしたら,私はもう絶対許しませんし,まあそういうようなことを,懸念を持たれてしまったっていうことは非常に不本意ですので,もう1度社内に戻りまして,万が一にもそんな疑い持たれないようにしっかりやれというか,私自分自身で見てきます。そんなことは絶対ないと思ってますけれども。(次ページへ