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太陽電池の出力最大化技術,三菱電機が新方式を開発

2010/02/16 20:15
野澤 哲生=日経エレクトロニクス
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新しいMPPTと従来のMPPTを,実際の太陽光発電システムで比較したデモのビデオ。(下の太陽電池パネルには雪が積もっている上に,大部分が日陰になってほとんど発電していない)。IV-V曲線の上で○で示した点が新しいMPPTで追跡する点,△が従来のMPPTで追跡する点である。この時点では,上の太陽電池パネルには影が差しておらず,○と△はほぼ一致している。
新しいMPPTと従来のMPPTを,実際の太陽光発電システムで比較したデモのビデオ。(下の太陽電池パネルには雪が積もっている上に,大部分が日陰になってほとんど発電していない)。IV-V曲線の上で○で示した点が新しいMPPTで追跡する点,△が従来のMPPTで追跡する点である。この時点では,上の太陽電池パネルには影が差しておらず,○と△はほぼ一致している。
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上の太陽電池パネルにも周囲の建物の影が差し始めた一方で,下のパネルには日が当たり始めたため,IV-V曲線が大きく変形した。○と△はまだほぼ一致している。
上の太陽電池パネルにも周囲の建物の影が差し始めた一方で,下のパネルには日が当たり始めたため,IV-V曲線が大きく変形した。○と△はまだほぼ一致している。
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さらにIV-V曲線の変形が拡大し,△が○と大きく離れた。出力も新方式と従来方式では約1.59倍の差に。
さらにIV-V曲線の変形が拡大し,△が○と大きく離れた。出力も新方式と従来方式では約1.59倍の差に。
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従来方式のMPPTは,低いピークを誤って追跡中。出力も約1割低い。
従来方式のMPPTは,低いピークを誤って追跡中。出力も約1割低い。
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 三菱電機は,太陽光発電向けパワー・コンディショナの最大出力点追従(MPPT:maximum power point tracking)技術の新方式を開発した。2010年2月16日の「研究開発成果披露会」で発表した。この技術によって,従来のMPPTより2倍以上の電力出力を引き出せる場合も出てくるという。

 太陽電池には,日射強度と出力電圧Vが決まっていると,出力可能な最大電流値Iも決まるという性質がある。この「I-V特性」の中で,電力IVの値が最大になる点を最大出力点(MPP)という。日射強度は,太陽高度や天候によって刻々と変化するため,MPPもそれに応じて移動する。この移動を追いかけて常にMPPで出力するようにする技術がMPPTで,パワー・コンディショナの重要な機能の一つになっている(日経エレクトロニクスの関連記事)。

 今回,三菱電機は,I-V特性を直接測定することでMPPTを実現する技術を開発した。具体的には,パワー・コンディショナへの電力入力回路部に導入したキャパシタを一度放電した後,充電する。その充電時の電圧と電流の変化を測定することでおよそのI-V特性が分かるという。「充放電にかかる時間は50msぐらい。10〜数十分に1度の間隔であれば,太陽電池の出力にほとんど影響がない」(同社)。

太陽電池の一部が日陰になった時に威力

 三菱電機の新しいMPPTは,太陽電池モジュールを何枚か直列または並列に接続したシステムで,一部のモジュールに日陰が差すなどした場合に威力を発揮する。

 これまでのMPPTは,出力電圧Vを微小に増減させ,その際の電流I(または電力IV)の増減を知ることで,移動していくMPPを追いかける方法が一般的だった。それは「あたかも,目隠しをしたままの山登りで,足を踏み出すことで地形の傾きを知り,登る方向を決めるようなもの」(三菱電機)だという。それでも,太陽電池に日陰がない場合はIV-V特性は一つのピークを持つ単純な曲線となるため,この方法でも問題がない。

 ところが,太陽電池モジュールの一部に日陰が差すと,システム全体のI-V特性は複雑な曲線になる。IV-V特性では,複数のピークを持つ「八ヶ岳」のような曲線になる。しかも,太陽や日陰の移動,さらには雪などモジュール上の障害物の増減によって,曲線の形は常に変化し,MPPとなるピークが急に別のピークに移ることもある。従来のMPPTでは,一度一つのピークを選んでしまうと,そのピークを追いかけ続け,本当のMPPが別のピークに移った場合も修正が難しい。そのままでは,本来の出力の1/2も出せないままになることもあり得た。

 一方,新しいMPPTでは,IV-V特性を短時間に実測してMPPを決めるため,その都度正しいMPPを選ぶことができる。三菱電機は,「出力を常に最大に保てるだけでなく,太陽電池パネルの故障や,パネル表面の汚れの程度なども知ることが出来るようになる」(同社)とそのメリットを説明する。

 三菱電機は,この技術を2010年10月に北米市場で出荷する産業用100kW級のパワー・コンディショナ製品に実装する予定である。そして,その後,日本国内の産業用途や家庭用パワー・コンディショナにも展開するという。

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