記者会見に臨んだトヨタ自動車代表取締役社長の豊田章男氏(左)と,同社代表取締役副社長の佐々木眞一氏
記者会見に臨んだトヨタ自動車代表取締役社長の豊田章男氏(左)と,同社代表取締役副社長の佐々木眞一氏
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 トヨタ自動車が2010年2月9日に開いた,一連の品質問題に関する記者会見の質疑応答の内容を報告する〔質疑応答の(序盤),(終盤)〕。同社とNHTSA(米国高速道路交通安全局)が品質問題の件で2009年に会合を行った際,NHTSA担当者は「不快感」を示したという。その理由は「製品の正しい使い方」に関する認識にあった。

 同日の記者会見に臨んだのは,同社代表取締役社長の豊田章男氏と,代表取締役副社長の佐々木眞一氏である。

(日刊自動車新聞)ディーラーでのリコールの具体的な作業について教えてください。1件当たり40分の作業時間がかかるというお話なのですけれども,この作業はですね,国内の全ディーラーで行えるのでしょうか。もし仮にですね,できないとしたら,1つのお店に集中したり,時間がかかったりするケースが考えられると思うのですが,そのへんの対応を教えてください。

 あともう1点あるのですが,今回の問題を受けてディーラーで今までの受注のキャンセルが出ているようだというお話も出ているかと思うのですが,こういった場合のですね,実際にクルマをキャンセルした場合に違約金などが発生するケースが考えられると思うのですが,そういったところで,どういった対応を考えていらっしゃるのか。その2点を教えてください。

佐々木氏の回答

 私でよろしいでしょうか。テクニカルのことですので,佐々木の方からお答えさせていただきます。

 まずですね,作業はですね,コンピュータの中にあるプログラムを書き換えるという作業で,これは,私どもが販売店に,すべての販売店に装備している専用の車載コンピュータのチェックをするためのコンピュータ,パソコンサイズの機器を持っております。すべての拠点に配置をしておりますし,複数の機器を持っている拠点も非常に多くございます。全国で,多分1万機以上のそういう設備があると思いますので,これは変な話ですけれども,1台当たり20台を処理すれば,20万台処理できるというぐらいの規模でございます。ですから,どこのお店へお客様が行っていただいても結構でございます。実時間は,多分10分ぐらいで済むと思いますが,お客様のおクルマをお預かりしますので,その前にきちんとした点検,それから作業を終わった後の点検,それを含めて40分間作業時間はいただくようにしております。

 それからですね,キャンセルの問題ですが…

豊田氏の回答

 それは,私のところには聞いておりませんが,一部キャンセルされたお客様もいらっしゃるというふうにも伺っております。具体的な数字はちょっとご容赦いただきたいと思います。

佐々木氏の回答

 違約金ですけれども,通常ですね,登録をしちゃった後での取り消しということになりますと,登録料とかそういうことが発生しますので,お客様からいただくこともありますが,登録する前,いわゆる手付け金といいますか,そういうものについては,きちっとお客様のキャンセルなされた事情等をお話しして,販売店との間できちんとやっていただければ,お客様に金銭的な負担が出るというようなことはないと思います。

 ただ,お客様がご注文いただいたクルマで,注文生産になっておりますので,そういうクルマを造ってしまったというようなことになったときは,多少お客様にご理解をいただくことがあるのかもしれませんが,これはあくまでもケース・バイ・ケースで一律にどうこうということはちょっと申し上げにくいものですから…。ただ,今回のケースが,私どものクルマに全幅の信頼を置いていただけないという,こういうことの主なる原因はメーカーサイドですので,販売店さんにご迷惑を掛けるということではなしに,メーカーの方でもそういうことは,きちっと,処理についてのご相談に乗りたいというふうに思っております。(次ページへ