各種特許のライセンス管理事業を手がける米MPEG LA, LLCは,同社が運営するH.264およびAVC(H.264)の特許プールに掛かる現行のライセンス期間が終了する前に,新たなライセンス期間における方針の一部を発表した。 具体的には,インターネット上でユーザーに配信された無料の動画コンテンツにはH.264のロイヤリティを課さないという現在の方針を新たなライセンス期間でも続けるとした(PDF形式の発表資料)。

 現在のMPEG LA社のH.264特許ライセンスの期限は,2010年末に終了する。今回発表したのは,2011年1月1日~2015年12月31日の期間に当たる次のライセンスに関する方針である。ユーザーに無料で提供するインターネット動画配信については特許ロイヤリティを課さないという方針が続くことを意味する。現在のライセンスでは,もしこの条件を変更する場合,ちょうど今ごろ,そのことを明らかにする必要があったという。新しいライセンスの詳しい条件は2010年末までに報告する予定であり,ユーザーに無料で提供するインターネット動画配信以外の用途では引き続きロイヤリティを課する方針を続けるとする。

 現在,World Wide Web Consortium(W3C)が策定中の「HTML 5.0」では,動画を扱う機能を盛り込んでいる。この規格で利用する動画復号化技術の選択肢について,現在,議論が活発化しているという。MPEG LA社の今回の報告は,こうした議論において,H.264の立場を強めるという狙いがあるとみられる。