4月1日付で日立製作所の代表執行役 執行役社長に就任する代表執行役 執行役副社長の中西宏明氏(右),同社の取締役 代表執行役 執行役会長兼社長の川村 隆氏(左)。Tech-On ! が撮影。
4月1日付で日立製作所の代表執行役 執行役社長に就任する代表執行役 執行役副社長の中西宏明氏(右),同社の取締役 代表執行役 執行役会長兼社長の川村 隆氏(左)。Tech-On ! が撮影。
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就任に向けた抱負を語る中西氏。Tech-On ! が撮影。
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 日立製作所は,2010年4月1日付の社長交代人事を発表した。代表執行役 執行役副社長で電力事業や電機事業などを担当する中西宏明氏が,代表執行役 執行役社長に就任する(Tech-On ! 関連記事1)。また,日立金属 社長の持田農夫男氏が,日立製作所の代表執行役 執行役副社長を兼務する。日立マクセル代表執行役 執行役社長兼取締役の角田義人氏が,日立製作所の執行役専務 電池事業担当,電動力応用統括推進本部長を兼務する。次期社長の中西宏明氏と,現・社長で4月以降も取締役 代表執行役 執行役会長にとどまる川村 隆氏の記者会見における主な発言内容は,以下の通りである。

川村氏 2009年4月以降,推進してきたグループの構造改革を加速させ,改革の実行力を確固たるものにしたい。2009年は,上場子会社の完全子会社化,ルネサス テクノロジとNECエレクトロニクスの統合(Tech-On ! 関連記事2)によるグループ会社の再編,新株発行による財務基盤強化,いくつかの課題事業における構造改革などによって,厳しい状況にあった日立グループ全体の再生を図り,成長に向けた経営基盤の確立を図ってきた。

 2009年は緊急事態からの脱却に向け,「攻めが40,守りが60」のバランスで経営してきた。今後,「攻めが60,守りが40」に切り替えていきたい。

 社会や経済が大きく変化している中,変化はチャンスと捉え,この戦略を迅速,確実に実行していきたい。今後は,伸びの大きい新興国を中心に,現地化を進めていきながら,社会イノベーション事業を中心に,グローバルな成長を目指していく。この実現に向けて,国内外の提携企業との連携の強化,これまでの成功事例の成果を活用していく。国内では高度先進医療,新エネルギー,省エネルギーといった「21世紀型の新事業」に,経営資源を優先的に配分し,成長事業を育成したい。

 (中西氏を)後任の社長に選んだ理由は,幅広い分野の事業を経験しており,特に,欧米における経営者としての経験,中国や中近東における事業の拡大など世界的なビジネスの実績では抜きん出ているからだ。日立グローバルストレージテクノロジーズ(日立GST)を再建した手腕は広く知られている。英国における鉄道事業も,彼(中西氏)が英Hitachi Europe Ltd.の社長を務めていた時期における取り組みが花開いたものである。

 電力事業などを中心とする社会インフラ事業と,HDDやコンピュータなどの情報通信事業の両方の実績を重ねており,日立グループが注力している電力・電気と情報通信の融合事業を拡大するために最適な人物である。

 こうした経験を活かし,今後の日立グループの躍進に不可欠なグローバル事業の拡大に,力を発揮してくれると確信している。2010年度(2010年4月~2011年3月)は,日立製作所の創業100周年である。黒字化の実現はもちろん,次世代に向けた舵取りに期待している。