ソニーは,2009年度第3四半期(2009年10~12月期)の連結決算を発表した(発表資料)。売上高は2兆2379億円(前年度同期比3.9%増),営業利益は1461億円(前年度同期は180億円の損失)で,増収・増益となった。事業構造の改革が「予定通り進捗した」(同社)ことに加え,その他分野を除くほぼ全分野で損益が改善したためである。

 事業セグメント別業績は以下の通り。なお,ソニーは2009年度から事業セグメントを変更している(Tech-On!関連記事)。

 AV機器や電子部品・半導体などを扱う「コンスーマープロダクツ&デバイス」セグメントでは,売上高が9698億円(前年度同期比10.7%減),営業利益が494億円(前年度同期は198億円の損失)だった。販売費・一般管理費の削減や原価改善などが増益につながった。

 製品別にみると,液晶テレビとコンパクト型デジタル・カメラが増益となった。液晶テレビの今期の販売台数が540万台と好調だったことに起因する。一方,ゲーム機向けシステムLSIやビデオ・カメラは減益となった。

好調なパソコン,不調なPSP


 パソコンやゲーム(ハードウエアおよびソフトウエア)などを扱う「ネットワークプロダクツ&サービス」セグメントでは,売上高が6061億円(前年度同期比1.9%増),営業利益が194億円(前年度同期は59億円の損失)だった。同セグメントでの増収増益に大きく貢献したのはソニーのパソコン「VAIO」シリーズである。一方,ゲームの損益はほぼ前年同期並みだという。ソニー・コンピューターエンタテインメント(SCE)のプレイステーション2とその対応ソフト,PSPの売り上げ数量が減少したものの,プレイステーション3(PS3)のコスト改善などによって,前年同期並みの損益を確保した。2009年9月に発売した新型PS3の販売が好調で,今期のPS3の売り上げ台数は650万台。これにより,2009年度通期での目標台数1300万台に到達する見通しとした。

 不調なのはPSP。今期のPSPの売り上げ台数は420万台にとどまり,前年同期の510万台を大きく下回った。このため,2009年度通期でのPSPの売り上げ台数の見通しを2009年10月時点での1500万台から1000万台と下方修正した。

 放送・業務用機器やディスク製造が含まれる「B2B&ディスク製造」セグメントでは,売上高が1435億円(前年度同期比0.5%減),営業利益が101億円(前年度同期比21.5%増)だった。中でもBlu-ray Discなどが好調だったため,ディスク製造事業の売り上げと利益が増加した。一方,先進諸国における事業環境が厳しく,放送,業務用機器の売り上げは減少した。

映画や音楽,金融も好調


 このほか,「映画」セグメントでは売上高が2032億円(前年度同期比16%増),営業利益が141億円(前年度同期比9.1%増),「音楽」セグメントでは同1635億円(前年度同期比2%増),同231億円(前年度同期比8.2%増),「金融」セグメントでは収入が2056億円(前年度同期比99.5%増),営業利益が350億円(前年度同期は374億円の損失)と,いずれのセグメントも好調だった。

 なお,持分法適用会社のソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズの2009年10~12月期の売上高は1750億円で,前年度同期比40%減と大幅に落ち込んだ。世界の携帯電話機市場が縮小した事に加え,中位価格帯におけるタッチ・パネル対応機へのシフトが想定を上回る速度で生じたことで販売台数が減少したという。販売台数は前年同期比で約40%減少の1460万台とする。ただし利益は改善しており,税引前利益は180億円の損失と,前年同期の256億円の損失に比べて上向いた。この結果,持分法による投資損失102億円を計上した。

 今回の2009年度第3四半期の改善を受け,ソニーは2009年度通期の業績見通しを上方修正した。売上高は7兆3000億円(前年度比6.0%減)と変わらないものの,営業損益は300億円の損失(前年度は2278億円の損失)とした。2009年10月時点での営業損益の通期見通しは600億円の損失だった。