図◎2009年度の連結業績の見通しを発表し,報道陣からの質問に答えるトヨタ自動車専務取締役の伊地知隆彦氏
図◎2009年度の連結業績の見通しを発表し,報道陣からの質問に答えるトヨタ自動車専務取締役の伊地知隆彦氏
[画像のクリックで拡大表示]

 トヨタ自動車は2010年2月4日,2010年3月期(2009年度)の連結業績の見通しを発表した。売上高は18兆5000億円と,前期実績よりも2兆円減るものの,第2四半期時点での見通しよりも5000億円改善する見込み。当期純利益は800億円で黒字の見通し。前期実績は4370億円の最終赤字で,第2四半期時点の見通しでは2000億円の赤字だった。

 一方,当期純利益は黒字を見込んだ中,営業損益は米国で発生したアクセルペダルの大規模リコール問題の費用を計上するなどの影響で,200億円の赤字となる見通しだ。

 第3四半期は売上高が5兆2929億円と,前年同期比で10.2%の増収となった。営業利益は1891億円で,前年の3606億円の営業赤字から大幅に改善した。「プリウス」「レクサスHS 250h」「SAI」といったハイブリッド車を中心に低燃費対応車の販売が好調だった。同四半期の販売台数は206万5000台と,前年同期から22万7000台増えた。

 世界各国の政府が打ち出した減税や補助金などの追い風を受けた上,原価改善や固定費削減などの「緊急収益改善」が計画以上に進展して業績が急回復したが,足を引っ張ったのが米国で発生したフロアマット,およびアクセルペダルの不具合問題である。トヨタ自動車ではリコールなどに備えて引当金を積んでいるが,「想定以上だった」(同社専務取締役の伊地知隆彦氏,図)ため,品質保証に関して1000億円,販売の減収などで700~800億円を計上する見込み。これが営業損失の見通しの大きな要因となった模様。

 ただし,現在報道などで大きく取り上げられているプリウスのブレーキ問題が業績に与える影響については「現状では見通せない」(同氏)ため,2010年度の業績予想には織り込まれていない(関連記事)。

 2010年2月以降の為替レートの見通しは,1米ドル=85円,1ユーロ=132円。現状よりもやや円高の見方で,同社が示した連結業績の見通しは「保守的」と言えそうだ。

■変更履歴
記事掲載当初,「2010年度決算」と掲載していましたが,正しくは「2009年度決算」です。お詫びして訂正します(本文は修正済みです)。