東芝は,2010年2月4~5日に開催している「第19回 東芝グループ環境展」において,政府による温室効果ガス削減の中期目標が東芝グループの事業にどんな影響を与えるかを試算していることを明らかにした。工場の省エネ対策などのコスト上昇要因になる一方,原子力発電や省エネ家電の追い風になるので,プラスとマイナス双方の影響があると分析している。

 日本の温室効果ガス削減の中期目標は,「(主要排出国が参加する枠組みができるという前提条件の下に)2020年までに1990年比で25%削減する」という内容で,鳩山由紀夫首相自らが表明したもの。この削減目標を東芝グループの国内での最新の排出実績に換算すると,「2020年までに2005年度比で30%削減」(同社)になるという。ただ,「現時点で実施可能な対策の積み上げで削減できるのは約20%削減までで,30%には届かない」(同社環境推進部)としている。何らかの追加対策が必要になるようだ。

 こうした工場やオフィスなどの省エネ対策はコスト上昇要因になることが多いが,温室効果ガス削減の取り組みは原子力発電,風力/太陽光発電事業,スマートグリッド,省エネ家電などの追い風になる。このため,東芝グループ全体での売上高や利益に対しては,プラスになるかマイナスになるか微妙としている。「(現政権が)国内でどんな対策を推進するかを明らかになってないので不明確な部分が残るが,その内容次第ではプラスの効果になる可能性ある」(同)としている。