図1 NTTドコモ 代表取締役社長の山田隆持氏
図1 NTTドコモ 代表取締役社長の山田隆持氏
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図2 2009年度第1〜3四半期の営業利益増減要因
図2 2009年度第1〜3四半期の営業利益増減要因
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図3 1契約当たりの通信料収入の推移。2009年度第1〜3四半期は音声収入が前年同期比13.0%減の月額3000円,データ通信収入が同3.0%増の2440円となった
図3 1契約当たりの通信料収入の推移。2009年度第1〜3四半期は音声収入が前年同期比13.0%減の月額3000円,データ通信収入が同3.0%増の2440円となった
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図4 端末販売台数の推移
図4 端末販売台数の推移
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 NTTドコモは2010年1月29日に,2009年度(2009年4月~2010年3月)の第3四半期決算を発表した(図1)。第1~3四半期累計の営業収益は前年同期比4.0%減の3兆2424億円,営業利益は5.9%減の7027億円だった(決算の数値はいずれも米国会計基準。PDF形式の決算短信)。前年同期比で通話料収入が1875億円落ち込み,それをデータ通信料収入の増加やネットワーク関連コストの減少などで補ったが,最終的に441億円の減益となった(図2)。第3四半期のみの営業収益は前年同期比1.3%減の1兆966億円,営業利益は28.0%増の2174億円だった。

 同社 代表取締役社長の山田隆持氏は,データ通信料の増加が「最も重要な課題」であるとする。2009年度第1~第3四半期累計では,ユーザーの通信量の増加や契約者の増加,スマートフォンおよびパソコン向けデータ通信端末の普及の影響により,データ通信料収入が前年同期比で592億円増加した。2段階定額料金の下限を引き下げたことによる減収の影響は「すぐに小さくなる」(山田氏)見通しであり,データ通信料収入の増加は「実質700億円程度といえる」(同)とした(図3)。今後はライト・ユーザー層に2段階定額料金への加入を促すことに重点を置いており,ごみ収集日情報配信や店舗特売情報提供といった生活密着型コンテンツを増やしたり,iモード・サービスの使いやすさを高めたりする方針である。

 決算発表会で米Apple Inc.の「iPad」について質問された山田氏は,「iPadは,3G通信機能内蔵の洗練されたパソコン,あるいは高級なネットブックだととらえている。SIMロック・フリーの端末向けのビジネス・モデルをどうするかはこれから考えなければならないが,iPadには前向きに取り組んでいきたい」と答えた。また電子書籍端末をNTTドコモが手掛けるかという質問に対しては,「(Amazon.com社の)KindleやiPadなどの新しい波は日々感じている。実際に(新たな分野の製品を)作るところまでは至っていないが,可能性は検討している」(山田氏)とした。

 第3四半期の端末販売台数は420万台で,前年同期の451万台から減少したが,「下げ止まりの時期を迎えたのではないか」(山田氏)という見方を示した(図4)。ユーザーの端末買い替えサイクルは「36カ月を少し越えたくらい」(同)であり,NTTドコモの「905i」「705i」シリーズのユーザーが端末を買い替える時期が来ているとした。また,端末販売の下げ止まりの傾向は,NTTドコモに限らず携帯電話業界全体のものだと指摘した。