図1 NEDOのプロジェクト概要
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図2 ロスアラモス郡におけるマイクログリッド実証
図2 ロスアラモス郡におけるマイクログリッド実証
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図3 ロスアラモス郡におけるスマートハウス実証
図3 ロスアラモス郡におけるスマートハウス実証
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図4 アルバカーキ市における商業地域マイクログリッド実証
図4 アルバカーキ市における商業地域マイクログリッド実証
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 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は,米国ニューメキシコ州で実施するスマートグリッド実証事業プロジェクト「米国ニューメキシコ州における日米スマートグリッド実証」の事前調査に,31社(18提案)を委託先として決定したと2010年1月28日に発表した。同プロジェクトは,ニューメキシコ州政府やロスアラモス国立研究所やサンディア国立研究所などと共同で計画してきたもの(関連記事1関連記事2)。ニューメキシコ州政府が州内5カ所で実施する実証プロジェクトのうち,ロスアラモス郡とアルバカーキ市の2カ所でNEDOが連携する(図1)。

 NEDO側の総事業費は約30億円。このうち,2010年度は約18億円である。実証期間は2013年度末までの4年間。NEDOは,2009年11月2日~12月1日までに公募した結果,19件の公募があり,このうち18件の提案を採択した。ただし,一部の委託先については,2010年3月末までに事前調査を行い,2010年4月に事業を実施するかどうかの事業化評価を行う。

 NEDOのプロジェクトには,(1)ロスアラモス郡におけるマイクログリッド実証,(2)ロスアラモス郡におけるスマートハウス実証,(3)アルバカーキ市における商業地域マイクログリッド実証,(4)全体総括研究,の4項目がある。

 (1)のロスアラモス郡におけるマイクログリッド実証では,2~5MW程度の配電線において,太陽光発電を2MW程度(米国側が1MWを設置),蓄電池1MW程度を導入し,太陽光発電の導入比率を変えることが可能な配電線として,太陽光発電の変動吸収が可能なEMS(Energy Management System)と情報通信技術の構築と実証を行う。さらに,情報通信機能を持った配電機器などを導入し,信頼性の高い配電系統を構築する予定。

 (1)は,東芝や日立製作所,京セラ,日本ガイシが中心となる。このほか,実施者として採択するかは事前調査後に判断されることになるが,伊藤忠テクノソリューションとNTTファシリティーズ,JFEエンジニアリング,NEC,富士通,三菱電機が参画している(図2)。東芝がサイトの取りまとめを担当する。同社はこのほか,EMSをはじめ,需要と太陽光発電予測や,RTP(リアルタイム・プライシング),通信を担当する。日立製作所は,系統機器の設置の取りまとめをはじめ,鉛蓄電池,パワー・コンディショナ,変電機器を日立グループで担当する。京セラは太陽光発電関連,日本ガイシはNAS(ナトリウム・硫黄)電池を取り扱う。

 (2)のロスアラモス郡におけるスマートハウス実証では,3kW程度の太陽光発電と20kWh程度の蓄電池,蓄熱機器,IT家電などの需要家側の機器をはじめ,スマートメーター技術とRTPを組み合わせたEMSや,宅内/宅外通信システムなどを有するスマートハウスを設置し,一般住宅と比較して効果を実証する。

 (2)は,京セラとシャープが中心となる。このほか,実施者として採択するかは事前調査後に判断されることになるが,伊藤忠テクノソリューションズとNTTドコモ,JFEエンジニアリング,NEC,パナソニックが参画する(図3)。京セラがサイトの取りまとめをはじめ,HEMS(Home Energy Management System)や太陽電池,パワー・コンディショナ,蓄電池,宅内通信を担当する。シャープはHEMSと家電を担当する。

 (3)のアルバカーキ市における商業地域マイクログリッド実証では,ビルに蓄電池やガス・エンジン・コージェネレーション,燃料電池,蓄熱槽,太陽光発電を設置し,電力系統から切り離しても自立運転が可能な600kW程度のビル・システムについて実証試験する。さらに,配電系統内に設置された太陽光発電の変動を,ビル側のEMSと系統側のEMSの連携により吸収できるかも実証する予定。

 (3)では,清水建設とシャープ,明電舎がサイト取りまとめをはじめ,系統のEMS,BEMS(Building Energy Management System),太陽光発電,蓄電池,蓄熱システム,通信を担当する。このほか,富士電機システムズと東京ガス,三菱重工業が燃料電池やコジェネ,ガスエンジンを,古河電気工業と古河電池が鉛蓄電池を取り扱う。また,実施者として採択するかは事前調査後に判断されることになるが,伊藤忠テクノソリューションズとJFEエンジニアリング,住友電気工業,日新電機が参画している(図4)。

 (4)の全体総括研究では,全体総括研究をニューメキシコ州側の総括研究と連携して実施する。具体的には,(i)スマートグリッド全体とりまとめ研究,(ii)PV等分散電源の評価,(iii)単独運転検出装置など分散電源保安技術に関する検討,(iv)サイバーセキュリティ及び情報通信技術の研究,(v)モデル・シミュレーション開発,の5項目がある。伊藤忠商事とアクセンチュアが全体の取りまとめを担当する。個別では,東芝が(i)と(v)を,京セラが(ii)を,関電工が(iii),電力中央研究所が(iv)の取りまとめを手掛ける。