米国の消費者保護団体Consumer Watchdogは米国時間2010年1月28日、米Googleの書籍本文検索プロジェクト「Google Book Search」を巡る修正後の和解案を承認しないよう求める意見書を裁判所に提出した。修正案は不十分であり、和解条件には根本的な欠点があると指摘している。

 Consumer Watchdogは、修正済み和解案が当初の和解案と同様に、反競争的であり、米国法律および国際的法律に違反すると主張。集団訴訟のプロセスを悪用し、密談による取り引きを和解に見せかけたものだと批判した。

 Google Book Searchは、世界の大規模図書館の蔵書をスキャンしてデジタル化し、インターネットで全文検索ができるデータベースを作成するというもの。 米作家協会(Authors Guild)と全米出版者協会(AAP:Association of American Publishers)は、同プロジェクトが著作権侵害に当たるとして2005年にGoogleを提訴したものの、2008年10月に和解した(関連記事:Google、書籍本文検索プロジェクトで出版業界と和解)。しかし、この和解案に反対する企業や団体、個人などが「Open Book Alliance」を立ち上げるなど、米国内外から批判の声が上がったため、Google、Authors Guild、AAPは和解条件を見直し、和解案の修正版を2009年11月13日に提出した(関連記事:「Google Book Search」巡る修正和解案、対象を英語圏4カ国に限定)。

 修正版では、同プロジェクトが対象とする作品を米国、オーストラリア、カナダ、英国の英語圏4カ国で出版された書籍に限定。著作権者不明の孤児作品については、作家や出版業界の代表者で構成される「Book Rights Registry」が収益を10年間保管し、著作権者が確認できなかった場合は、裁判所の判断により4カ国の慈善団体に寄付する。

 Consumer Watchdogの代理人であるKasowitz, Benson, Torres & Friedman法律事務所のDaniel Fetterman氏は、「もし修正済み和解案が承認されれば、多数の不在作家(孤児作品の作者など)の著作権が不当に効力を抹消され、Googleに不公平な独占的地位を与えることになる」と述べた。

 米メディアの報道(New York Times)によると、米Amazon.comや米国の非営利団体Internet Archiveなども、同様に修正済み和解案に対する異議申立を行っているという。

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