四半期ベースで過去最高の売上高と営業利益を達成
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DRAM価格が安定に推移
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40nm世代品(6F<sup>2</sup>)の量産を本格化
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台湾メーカーとの提携も着々と進む
台湾メーカーとの提携も着々と進む
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 エルピーダメモリは2010年1月28日,2009年度第3四半期(2009年10~12月期)の決算を発表した(ニュース・リリース)。売上高は対前年同期比144.5%増の1510億円,営業利益は同883億円改善の304億円。売上高,営業利益とも四半期ベースでは過去最高を更新した。純利益は同934億円改善の211億円だった。

 パソコン向けの需要が旺盛で,DRAM価格が安定に推移したことが好業績につながった。例えば,1GビットDDR3 SDRAM(1333Mビット/秒)のスポット価格は2009年7月には1.5米ドルほどだったが,ここ数カ月は2.5~3米ドルの水準にまで回復している。第3四半期の売上高1510億円のうち,80%はコンピューティングDRAMであり,そのうちの40%はDDR3品だった。一方,売上高の20%を占めるプレミアDRAMは携帯電話機向けが低調だったものの,2010年4月以降は回復が期待できるとした。

 同社のビット成長率は第3四半期の実績が対前期比30%増,第4四半期(2010年1~3月期)の予測が同0~5%増となっている。2009年度通期では対前年度比50%強のビット成長率を見込む。なお,2009年度通期の設備投資金額は600億円と前回発表から変わっていない。

 今後の主力となる40nm世代,6F2セルのDRAMに関しては,2009年12月に広島工場で量産を開始し,2010年4~6月期には台湾の生産子会社Rexchip Electronics Corp.でも量産を始める。2010年末までに広島工場の生産能力の50%に相当する6万5000枚/月を40nm世代にシフトさせるほか,Rexchip Electronics社の全生産能力8万枚/月を40nm世代に移行させる。エルピーダメモリは,広島工場における40nm世代への転換などに必要な設備投資として2010年度に600億円を計画する。一方,Rexchip Electronics社は40nm世代への転換に関して2010年に400億円を投じる予定である。

 さらに次世代の40nm世代,4F2セルのDRAMに関しては,Rexchip Electronics社内に設立するR&Dセンターで開発を進める(関連記事)。開発人員は60~80人であり,Rexchip Electronics社,エルピーダ,新規採用の技術者で構成する。開発費は初年度の概算で3000万~5000万米ドル。これと並行してエルピーダでは32nm世代,6F2セルのDRAM開発も進めており,2011年の後半には早く開発できた方の量産を開始する予定。技術的には,40nm世代,4F2セルのDRAMの方が難しいという。

 また,エルピーダは50nm世代でCu配線を導入していたが,40nm世代ではAl配線を利用する。これは設備投資金額を抑制するのが目的であり,Al配線でもCu配線並みの高速性を達成できることを確認したためとする。32nm世代にもAl配線を利用できるかどうかは,現時点では見えていないという。