2010年1月19日,私的録画補償金管理協会(SARVH)が東芝に対し,未納付の私的録画補償金相当額である3264万5500円の支払いを求めた裁判(事件番号:東京地方裁判所 平成21年(ワ)第40387号)の第1回弁論が,東京地方裁判所,第627号法廷で開かれた(Tech-On!関連記事1関連記事2)。

 この事件の担当は東京地裁の民事第46部で,今回の弁論は大鷹一郎裁判官,大西勝滋裁判官,関根澄子裁判官の合議体で行われた。原告の訴訟代理人は,企業法務などで著名な日比谷パーク法律事務所の久保利英明氏,被告の訴訟代理人は長島・大野・常松法律事務所の田中昌利氏である。42席ある傍聴席は原告,被告の関係者などで約7割が埋まった。

 今回は原告側の訴状,被告側の答弁書の内容の確認と,今後の日程について確認された。これに関連して裁判官からは双方に対し,訴状の主張について幾つか質問が行われた。まず,著作権法104条の5に基づく原告の請求が消費者から集めた補償金そのものなのか,連帯責任などで生じた相当額なのかという点。次にそれに関連して現在,録画補償金が支払われているアナログ・チューナー搭載の録画機は,どういう法的構成で支払い義務が生じているのかといった点について,書面で説明を求めるとした。

 これに関連して原告代理人の久保利弁護士は「該当機種が(著作権法第104条の4で言う)特定機器にあたるかどうかが唯一の争点。ダビング10は総務省の規定であって著作権法とは一切,関係がない」と述べた。これに対して,被告代理人の田中氏は「争点のとらえ方は,原告と異なる。該当性自体が争点であると考える」などと述べた。

 今後はまず,裁判所からの質問に対する説明や被告が答弁書で求めた件(求釈明)への回答などが書面で原告から提出される。次にそれを踏まえた被告の主張などが提出される。次回の弁論は2010年3月9日13時30分から行われる予定だ。