図1 韓国LG Display社の「WHDIレディ」機
図1 韓国LG Display社の「WHDIレディ」機
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図2 「WHDIレディ」機の背面に付いているのが,WHDIの小型受信装置。
図2 「WHDIレディ」機の背面に付いているのが,WHDIの小型受信装置。
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図3 フランスInsight SiP社の小型モジュール
図3 フランスInsight SiP社の小型モジュール
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図4 村田製作所の小型モジュール
図4 村田製作所の小型モジュール
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図5 デモの様子。内視鏡は右手奥にある据え置き型装置とつながっている。その装置からWHDIで3台のモニターに1080i映像を伝送し,表示させている。
図5 デモの様子。内視鏡は右手奥にある据え置き型装置とつながっている。その装置からWHDIで3台のモニターに1080i映像を伝送し,表示させている。
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 5GHz帯を用いてHDTV映像を非圧縮で伝送する無線規格「WHDI(wireless high-definition interface)」に対応するチップセットを手がけるイスラエルAMIMON Inc.は,同社のチップセットを採用した製品群によるデモをCES会場付近のホテルにて披露した。その多くが,同社の2009年5月に発表した最新のチップセットを搭載したものである。このチップセットを利用することで,1080p(1920×1080画素,プログレッシブ)のHDTV映像を非圧縮で伝送できるという(Tech-On!関連記事1同2)。同社は順調に対応製品が増えていることを強調した。「今までハイエンド品を中心に普及してきたが,今後は普及価格帯のテレビなどにも採用されるだろう」(同社 VP Marketing & Business DevelopmentのNoam Geri氏)。

 同氏が例として挙げたのが,韓国LG Display社である。「既に30機種ほどのテレビが「WHDIレディ」となる」(Geri氏)という(図1)。「中には1000米ドルほどの普及価格帯の対応製品もある」(同氏)という。WHDIレディとは,外付け型WHDI用受信モジュールをテレビに接続することで,WHDIにより送られた非圧縮のHD映像を受信できるようになることを指す(図2)。この受信装置の大きさは携帯可能な外付け型HDD並みである。会場では,WHDI用受信装置を取り付けたLG社の液晶テレビに,WHDI用送信装置を外付けしたBDプレーヤーから非圧縮のHD映像を伝送,表示させるデモを披露した。

 1080p対応チップセットを搭載した外付け型送受信装置は,複数の企業から既に製品化,あるいは近々製品化される予定があるという。例えばオランダRoyal Philips Electronics社は,既に欧州で発売済みだという。

 こうした,AV機器に外付けする送受信装置だけでなく,ノート・パソコンに内蔵できる小型モジュール(Display Mini Card)の開発も進んでいる。会場にはフランスInsight SiP社や村田製作所が作製した試作品が展示されていた(図3,4)。また,AMIMON社以外の半導体メーカーも対応チップを手がけるようだ。会場には,AMIMON社のベースバンド用チップと,米Maxim Integrated Products, Inc.のRFチップを実装した基板が出展されていた。

医療機器にも採用


 AMIMON社は,1080p対応品に先立ち,1080i(1920×1080画素,インタレース)映像の非圧縮伝送に対応したチップセットも製品化している。既にソニーなどで採用実績があり,現在では病院内で利用する医療機器でも採用されているという。例えば,内視鏡などで撮影した人体内部の映像を,WHDIによって複数台のモニターに同時に伝送させる(図5)。モニター換算で,「既に5000台へ採用実績がある」(Geri氏)という。AV機器と違い,「1080pは求められない。1080iで実用上問題ない」(同氏)。こうした無線機器に関しては,医療現場で電波の干渉の問題が課題視されるが,「干渉の恐れはない。だからこそ医療機器に採用されている」(同氏)とする。