図1 ミリ波を用いたデジタル放送の伝送システム
図1 ミリ波を用いたデジタル放送の伝送システム
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図2 DXアンテナが「CEATEC JAPAN 2009」で展示したミリ波送信機
図2 DXアンテナが「CEATEC JAPAN 2009」で展示したミリ波送信機
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図3 「CEATEC JAPAN 2009」で展示したミリ波受信機(短距離用)
図3 「CEATEC JAPAN 2009」で展示したミリ波受信機(短距離用)
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 DXアンテナは,60GHz帯のミリ波を活用して地上デジタル放送,BSデジタル放送,110度CSデジタル放送を受信するシステムを埼玉県所沢市のマンションに納入した。シャープが開発したミリ波モジュールを,DXアンテナが「デジタル放送伝送システム」として販売していた( Tech-On! 関連記事)。施工を担当したのは,デジタル放送工事の専門会社である受信サービス。2009年12月25日に引渡しを完了した。

 対象となったのは築36年の地上14階建てマンションで,総戸数は158戸。仕組みは以下の通りである(図1)。屋上のアンテナで受信した電波を6台のミリ波送信機で階下にむけて伝送する(図2)。各戸のベランダに取り付けたミリ波受信機を介して,室内のテレビに映像を映し出す(図3)。受信機には,送信機からの送信距離に応じて近距離用と中距距離の2種類を用意した。近距離用は20m以下の送信距離を,中距離用は20~45mを目安に使い分けるという。今回の場合,近距離用を57台,中距離用を101台使用したという。アンテナ利得は標準23dBiである。

 この方法は主に,既設のマンションに向ける。築年数が20年以上経過したマンションでは,同軸ケーブルが老朽化していたり地上デジタル放送を伝送できないケーブルを使用していたりすることが多く,代替設備への改修に手間が掛かっていた。

 DXアンテナが今回納入した方式では,ベランダにミリ波受信機を取り付ければよく,配線が不要で足場を組む必要がない。屋上にミリ波送信機と放送電波の入力レベルを調整する機器を設置する作業と併せて「2週間程度で改修が完了した」(DXアンテナ)。これは,「一般的な地上デジタル放送への対応工事に比べて半分くらいの工期」(同社)という。

■変更履歴
記事掲載当初,「DXアンテナがミリ波による送受信機を開発した」としていましたが,正しくは「シャープが開発したミリ波モジュールを,DXアンテナが「デジタル放送伝送システム」として販売していた」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。