島津製作所は,環境負荷軽減に貢献する省エネルギ(省エネ)関連製品のラインアップを強化する。「Save the Energyプロジェクト」を創設し,製品開発を加速させる。対象は,水質や排ガスなどに関する計測機器や太陽電池の製造装置など。

 同プロジェクトでは,省エネ効果が見込める主要製品の新規開発において25%以上の消費電力削減を目標とする。省エネによりランニングコストの低減も実現し,売り上げの拡大を図る。

 同プロジェクトの主要製品の一つとして位置付けているのは,省エネ型のガスクロマトグラフだ。ガスクロマトグラフでは,多くの成分を含む試料を気化させて成分ごとに分離・検出することによって組成を調べている。試料を気化させるのに装置内のオーブンを高温にしており,その際に多大な電力を使用している。

 開発中のガスクロマトグラフでは,熱解析によりオーブンの構造を最適化したほか,省エネ型の電気回路を採用。分析時の消費電力を従来モデルよりも25%以上削減することを目標とする。開発品は「分析展2010」(2010年9月1~3日,幕張メッセ)に出品する予定だという。

 さらに,ガスクロマトグラフについては,より小型でかつ省エネ型の製品も開発中だ。具体的には,MEMS技術を使いシリコン基板上に幅および深さが0.2mm,長さが十数mの溝を刻んだ分析用オンチップ・カラムユニットを作製している。これを用いることで分析に必要な熱量が大幅に減り,小型化と省エネを実現できるという。消費電力を従来のガスクロマトグラフの1/20~1/10に下げられる。

 これ以外にも,水中の有機物の量を調べるための全有機体炭素計(TOC計)や,半導体/液晶パネル/太陽電池などの製造に不可欠な超高真空状態を生み出すターボ分子ポンプについても,省エネ型製品の開発を進める。