薄さと軽さをアピール
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QUEに搭載されている電子ペーパー・モジュール
QUEに搭載されている電子ペーパー・モジュール
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 米Plastic Logic社は,開発を進めてきた電子書籍端末「QUE」の価格や発売時期などを,「2010 International CES」の報道機関向けイベント(現地時間の2010年1月7日に開催)で明らかにした(Tech-On!関連記事)。朝早い時間に開催されたベンチャー企業のイベントにもかかわらず,有機TFTを利用した製品の詳細が明らかにされるとあって,多くの報道陣が所狭しと詰め掛けた。

 今回,Plastic Logic社が発売する製品は2機種。一つは,4Gバイトの内蔵メモリ(3万5000のドキュメントに対応)を格納し,無線通信機能としてWi-FiとBluetoothを搭載するモデル。もう一つは,8Gバイト(7万5000のドキュメントに対応)を格納し,無線通信機能としてWi-Fi,Bluetoothに加え3Gを搭載するモデルである。いずれも,静電容量式のタッチ・パネルを搭載する。

 価格は,前者が649米ドル,後者が799米ドル。いずれも,2010年4月に発売する。既にQUEのWebサイトにおいて注文を受け付けている。

 QUEの最大の特徴は,プラスチック基板の有機TFTを利用するため,画面寸法が大きいながらも薄くて軽いことにある。製品仕様は,画面寸法が10.7型(電子ペーパーは米E Ink Corp.製)で,厚さは1/3インチ(約8.47mm),重さは17オンス(約482g)だ。

 これを,画面寸法が1型だけ小さい9.7型の米Amazon.com,Inc.の「Kindle DX」と比較してみる。すると,もちろんQUEに薄さと軽さの軍配は上がるものの,必ずしも劇的に違うわけではないようだ。Kindle DXの厚さは0.38インチ(約9.65mm),重さは(約536g)である。

 Plastic Logic社の有機TFTは,製造工程の一部にインクジェット技術を利用している。このため,将来的にはガラス基板TFTよりもコスト面での優位性が出てくる可能性がある。付加機能の違いなどもあるため単純に比較はできないが,Kindle DXが現在489米ドルであることを考えると,現時点では有機TFTを用いたことによる価格優位性は発揮されていないと言えそうだ。