試作した“ワイヤレス”テレビ。背後に見える黒い箱が給電装置
試作した“ワイヤレス”テレビ。背後に見える黒い箱が給電装置
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背面からも“線”は出ていない
背面からも“線”は出ていない
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 中国Haier社は,ワイヤレス給電技術を使ってテレビ本体から電源用コンセントをなくした大画面テレビを米国で開催中の「2010 International CES」に出展した。HD映像を無線伝送する高速通信規格「WHDI(Wireless Home Digital Interface)」を使って伝送した映像を表示するデモを見せた。テレビ本体から“線”を全くなくした試作機だ。製品化の計画は未定。

 採用したワイヤレス給電技術は,米WiTricty社の技術。米Massachusetts Institute of Technology(MIT)の教授が2007年4月に創業したベンチャー企業だ。

 磁気結合(magnetic coupling)を用いた給電方式で実現した。試作したテレビの背面には,約1フィート(30.48cm)角のコイルを内蔵。100Wの電力で1mほど離れた場所まで給電できる。給電可能な距離はコイルの大きさに依存する。コイルの直径の3~5倍の距離まで給電可能という。今回のデモでは,テレビの背面から20~30cmほどの距離に給電装置を置いて,電力を供給して見せた。

 WHDIは,イスラエルのAMIMON社の技術を基本に業界団体「WHDI」が策定した5GHz帯を利用する無線通信規格。40MHzの帯域幅を活用すれば,3Gビット/秒の伝送速度を確保できる。1080pで60HzのHD映像を,非圧縮で無線伝送できる仕様だ。最大100フィート(約30m)の通信が可能で,壁越しでも接続できる。2009年12月には正式仕様「WHDI 1.0」を発表しており,この規格に対応していると見られる。