2010年1月4日,業界団体Digital Entertainment Content Ecosystem LLC(DECE)(Tech-On!関連記事)は,同団体が策定中の動画配信などで使える標準ファイル・フォーマット「Common File Format」の仕様で合意したと発表し,一部の仕様を発表した(PDF形式の発表資料 )。

 今回の発表で明らかになったのは同フォーマットで利用できるDRM技術で,米Adobe Systems Inc.の「Adobe Flash Access」,業界団体Open Mobile Allianceの「CMLA-OMA V2」,業界団体Marlin Developer Communityの「Marlin DRM」,米Microsoft Corp.の「PlayReady」,米Widevine Technologies, Inc.の「Cypher」の五つである。また,同団体が推進する「digital rights locker」サービスの運営を担当する事業者として,米Neustar, Inc.を選択したと明らかにした。さらに,同団体に米Adobe Systems Inc.,米Cable Television Laboratories, Inc. (CableLabs社),米Motorola, Inc.,フィンランドNokia Corp.,フランスTHOMSON社など21社が新たに加わったと明らかにした。なお,同団体はCommon File Formatの詳細を2010年前半に公開する予定である。

 DECEは,ハリウッドの大手スタジオが役員を務め,ソニーなどの大手家電メーカーや米Microsoft Corp.などの大手IT企業48社が参加する業界団体である。同団体は,インターネットの動画配信などに利用するファイル形式の標準仕様を策定することで,対応機器を増やしたり,ユーザーが再生機器の選択に悩んだりしなくて済むようにすることを狙っている。さらに,ユーザーが購入したコンテンツの権利情報を管理する「digital rights locker」サービスを提供することで,ユーザーに配信コンテンツならではの,利便性を提供することを狙う。例えば,パソコン向けコンテンツを購入したユーザーに対し,携帯機器向けコンテンツの利用権を与えるといったサービスが考えられる。

 今回,同団体はCommon File Format向けに新たなDRM技術を開発することを避け,広く普及する五つのDRM技術から選べる形にした。Common File Formatは機器メーカーやコンテンツ配信事業者などに幅広くライセンスする予定で,ライセンスする企業は限定しない。現段階では,それ以外のライセンス条件を明らかにしていない。また,digital rights lockerサービスに関しては,Neustar社のサービスを連携するためのAPIを今後公開する予定にしている。