連載「『開発の鉄人』多喜義彦の現場をゆく」が好評です。今回のコラム・ランキングでは,「アクセス数」でも「参考になった」でもトップ10位中にそれぞれ4本入る勢いを見せました。

 連載の各回を読んで思うのは,いくら世間が空前の大不況と言われていても,面白い仕事をしている人たち,利益を上げ続ける企業は,いくらでもあるということです。マスコミという立場から,どうしても「業界全体」「日本の産業」といった大きな風呂敷で物ごとを見がちな筆者は,少々反省させられました。こうした大雑把な観点から抜け出ない限り,現在の閉塞感を打破する発想は生まれないのでは,と。業界全体を同一視する見方の根底には横並びの発想があり,世の中は横並びでは儲からない時代にますます向かっているからです。

 実際,連載が取り上げた事例は,いずれも他に類を見ない発想や技術を武器に,ちょっと前の言葉で言えば「ブルー・オーシャン」を切り開いています。本来それぞれの企業が置かれた立場や得意な技術は千差万別のはず。それを生かすことで,どんなに小さくても自社ならではの青い海を見つけることが,苦境を打開する処方箋ではないでしょうか。もちろん独自と思っている技術が実は他社と大差なかったり,違う言葉で同じ市場を語っていたりする場合も往々にしてあるのですが…。

 かく言うTech-On!でも,自分たちの強みをなるべく発揮できる手段を求めて日々頭を悩ませています。その一環として,今週から「ピックアップ」という企画を始めてみました。「Android」「3Dディスプレイ」「電子ペーパー」「スマートグリッド」「直流給電」といった話題のキーワードごとに,Tech-On!にあるコンテンツを一覧できるものです。Tech-On!の大きな特徴は,連日更新されるニュースだけではなく,実は雑誌の記事や様々なイベント,書籍といった多彩なコンテンツへの入口でもあることです。ところが現在のサイトの構成は,こうしたコンテンツがあることを,的確に伝えているとはお世辞にもいえません。今回の試みは,この環境の改善に向けた第一歩です。読者の皆様のご意見・ご要望をいただければ幸いです。

ニュース(12月14日~18日)