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「ネットにはない新鮮な情報がある」,EDS Fair2010の実行委員長に聞く

2009/12/15 20:02
赤坂 麻実=ライター
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 2010年1月28日〜29日,パシフィコ横浜で「Electronic Design and Solution Fair 2010」(EDSF)が開催される。前身の「EDA Techno Fair」から名称を「EDSF」に変更して,今回で10度目の開催だ。実行委員長の齋藤茂美氏(ソニーコンスーマープロダクツ&デバイスグループ 半導体事業本部 設計基盤技術部門 業務推進室)に,10周年企画をはじめ,新たな取り組みについて聞いた。(聞き手は小島郁太郎=編集委員)

齋藤茂美氏 筆者が撮影。

今回のキャッチ・フレーズ「Webにない“新しい”が,ここにある。」には,どんな意味がこめられているのか。

 今はさまざまな情報がWebで入手できる時代だが,専門技術領域に関する情報についていえば,鮮度や深度の点でWebの情報だけでは必ずしも十分ではない。Webで得た情報を入口に,展示会で実際に目で見て理解を深めてもらいたい,という思いを,このキャッチ・フレーズにこめた。

 展示会では,提携している企業同士,あるいは競合企業同士がすぐそばにブースを構える。それらを一度に見渡すことで,何か見えてくるものもあるはずだ。情報の新しさ,という意味では,世界初の製品や記者発表前の製品を展示する企業もあると聞いている。

10周年特別企画について教えてほしい。

 「各社のNo.1設計者が語る“私の設計”」(仮題)という講演を用意した。電子情報技術産業協会(JEITA)のEDA技術専門委員会に所属する半導体メーカー5社から「No.1設計者」が登壇し,「私の設計」というテーマでそれぞれ語る企画だ。技術の説明ではなく,どのようにして「No.1」になったのかが伝わるような話をしてもらう。例えば,現場で心がけていることなどを,同じ道を歩む後輩たちへのメッセージとして語ってくれるだろう。

 どうも国内には,設計者が集まる場が少ないように思う。学会は大学からの発表が中心で,企業が力を入れているようには見えない。だからこそ,EDSFが設計者同士でコミュニケーションをとれる場になれば,と考えた。「No.1設計者」の人選は各社に任せているが,分野が偏らないように配慮して,アナログ設計者もデジタル設計者も共感したり学んだりできる場にしたい。

10周年特別企画のほかに今年の目玉を挙げるなら。

 目玉とは別の意味かもしれないが,今年の企画を立てる際に,「グリーン」は重要なキーワードだった。特設ステージでの講演5セッションのうち4つまでが,広い意味ではグリーンに関するものだ。

 「エグゼクティブが語る我が社のGreen戦略」は,富士通マイクロエレクトロニクス,パナソニック セミコンダクター社,ルネサステクノロジら国内半導体メーカーの経営幹部に環境問題への取り組みを聞く。

 2部構成にした「ローパワー設計の全てがわかる!!」では,第1部でSTRJ(Semiconductor Technology Roadmap committee of Japan)が策定した技術ロードマップを紹介し,第2部ではEDAベンダー各社から自社のローパワー戦略を語ってもらう。米Cadence Design Systems Inc.や米Synopsys, Inc.,米Mentor Graphics Corp.といった大手をはじめ,中小ベンダを含めて合計7社を集めた。

 「パワー・高耐圧系アナログ回路の現状と課題」も,電源=エネルギー関連技術という意味では,グリーンにつながるテーマだ。

 5セッションで唯一,グリーンと直接には関係しないのが「組込みシステムにおけるソフトウェア開発要件とESL技術の対応」と題するパネル・ディスカッションだが,これも重要なセッションだ。EDA業界にとって今後,組み込み領域をどこまで取り込めるかが,大きな課題の1つになる。半導体ユーザーの言葉が聞けるよう,今回はデンソーからもパネリストを出してもらった。ぜひ,参考にしてほしい。

今回初めての取り組みは。

 出展者セミナーで初めてトラック制を採用する。これまでは各社が任意の会場を押さえてセミナーを開いていたが,今回は実行委員会が各社のセミナー開催の申し込みを技術分野でカテゴライズし,分野ごとに会場を分け,時間割を作って進行していく。これにより,来場者はあちらこちらを行ったり来たりしないで興味のある分野のセミナーを続けて聞くことができるはずだ。興味のある複数のセミナーの時間帯が重なる,といったことが減り,ユーザビリティ向上につながる。

 また,今回初めて,出展者セミナーの事前受講登録ができるようにした。登録内容を見て,講師は客層に合った講演ができ,講演する側にも聞く側にもメリットがある。

海外新興ベンダーのブースを案内する「ガイドツアー」。前回と変わった点はあるか。

 ブースをまわる前に特設ステージで各社を紹介する時間を,前回より長めにとった。これは実は申し込み数が減ったために可能になったことだが,この分,より深く,ツアー参加ベンダー各社を理解できるはずだ。今回は12社から申し込みがあり,それをフロント・エンド,バック・エンド,アナログの3つに分けて初日に1本,2日目に2本のツアーを組んだ。経費節減のために海外出張を減らしている企業が多く,DAC(Design Automation Conference)の参加者が激減した今,海外新興ベンダーの動向を知る貴重な機会になるだろう。

今回のEDSF全体の出展規模は。

 出展は96社,220小間(2009年12月9日現在)で,前回の143社,317小間を下回っているが,今後まだ増えるはずだ。来場者数は前回の9117人に対して9000人程度を見込む。

 この経済環境で,出展規模に関して明るいニュースは少ないが,国内ベンチャーを集めた展示エリア「JEVeCビレッジ」へは前回とほぼ同等の出展が決まった。

 大学の展示エリア「ユニバーシティ・プラザ」を維持できたこともよかった。前回に比べると出展校数は半分ほどに減っているが,実行委員会の予想を上回った。EDSFでは前回まで,大学からは出展料をとらず,交通費を支給してきたが,今回は交通費を出せる状況になく,逆に会場造営費を負担してもらうことになった。これで出展が激減するのではと危惧したが,全国各地から9大学が出展することになった。学会とはまた違った研究発表の場として,あるいは学生が企業にアピールするチャンスとして,EDSFに期待が寄せられているようだ。

国内半導体メーカーでファブレス/ファブ・ライト化の動きがあるが,EDSFにはどのような影響があるか。

 私見になるが,ファブがどうであれ,設計という仕事がある限り,そう大きな影響は受けないのではないか。ただ,ファブから地理的に遠い半導体企業の設計業務はシステム側に寄っていくはずで,そうした傾向はEDSFの展示などにも表れるかもしれない。

 また,将来,ファブレス/ファブ・ライト化が進めば,シリコン・ファウンドリがEDSFに出展するようになるだろう。実際,DACでは,台湾のファウンドリが大きなブースを構えていた。

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