米Appleがオンライン音楽サービスの米Lalaを買収したと,米国の複数のメディアが報じた。いずれも,買収額などの詳細は不明としている。

 Lalaは,カリフォルニア州パロアルトに本社を置き,800万曲の楽曲データによる音楽配信サービス「Lala」を提供している。英EMI Music,米Sony BMG Music Entertainment,米Universal Music Group,米Warner Music Groupの4大レーベルと提携を結んでいる(関連記事:Lala,広告表示なしの音楽配信サービスを発表,4大レーベルが提携)。

 Lalaのユーザーは購入前の楽曲を,一回に限り初めから終わりまで無料で試聴でき,1曲10セント支払って自分のWebコレクションに追加できる。LalaのWebコレクションには,パソコンのほか,携帯電話などのインターネット対応端末からアクセスできる。79セントを追加すれば,DRM(デジタル著作権処理)の暗号を解除したMP3ファイルをダウンロード購入できる。

 米国時間2009年12月4日付けのNew York Times電子版によれば,米Bloombergと米CNetが同日の早い時間に,両社の合意が近いと報じていた。Lalaはもともと,2006年にCDスワッピング(交換)・サービスとして始まったが,音楽業界の反発に遭って事業方針を転換した経緯がある。Lalaが短期で黒字に転換する見通しが暗いことから,同社幹部がAppleに交渉を持ちかけたという。

 Lalaには米Warner Music Group(WMG)も出資しているが,WMGは2009会計年度第2四半期(2009年1~3月)の決算で,Lalaとソーシャル・ネットワーキング・サービス「imeem」に関する投資評価損として3300万ドルを計上した(関連記事:Warner Musicの1~3月期決算は赤字拡大,Lalaやimeemの投資評価損が影響)。

 一方のAppleは,デジタル・コンテンツ配信サービス「iTunes Store」をダウンロード・サービス以外にも拡大する新たな手法を探っていると,情報筋は語っている(Reuters電子版

 12月6日付けWall Street Journal電子版によれば,Apple広報担当Steve Dowling氏は「Appleはときおり実施するより小規模な企業の買収に関して,通常,目的や計画についてコメントしていない」と発言している。また,Lalaの広報担当者や共同設立者のコメントも得られていない。