館林システムセンター新棟
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冷却した空気とサーバによって暖められた空気の通り道を分離した
冷却した空気とサーバによって暖められた空気の通り道を分離した
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京セラ製の多結晶Si型太陽電池
京セラ製の多結晶Si型太陽電池
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垂直面に設置した富士電機システムズ製の薄膜Si型太陽電池
垂直面に設置した富士電機システムズ製の薄膜Si型太陽電池
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 富士通は,環境に配慮した新たなデータ・センター「館林システムセンター新棟」を開設した。電源や空調などのファシリティの電力使用量を,1995年に開設した既存の「館林システムセンター(旧棟)」に比べて約40%削減した。

 電力使用量の削減に最も貢献したのは,空調システムの改良である。冷えた外気を活用したり,冷却した空気とサーバによって暖められた空気の通り道を分けたり,冷凍機やUPS,変圧器に高効率な設備を導入するなどして実現した。
 このほか,サーバの数が増えた場合に備え,現在の空調システムを補う「局所空調システム」を開発中である。サーバ・ラック上部の空いたスペースに設置し,局所的に発生した熱だまりの解消に役立てる。

 空調システムの運転を最適化するために,温度や風量,電力などを監視するさまざまなセンサーを設置している。例えば温度センサーでは,光ファイバーを利用して10cmメッシュでの温度測定を可能にする計画である。光ファイバーにレーザー・パルスを入射し,戻ってきたラマン散乱光の強度から温度変化を検出する。空調システムの管理のほかに,サーバの異常検出にも活用できるという。

 館林システムセンター新棟の屋上には,2種類の太陽電池が設置されている。一つは,京セラ製の多結晶Si型太陽電池である。屋上の平らな面に架台を使って設置した。最大出力は30kWになる。もう一つは,富士電機システムズ製のフレキシブルな薄膜Si型太陽電池である。フレキシブルの特徴を活かして,あらかじめ鋼板に張り付けた状態で搬入し,屋上の垂直の壁に設置した。最大出力は20kW。

 太陽電池で発電した電力は,2次電池などを利用することなく,空調システムの駆動に直接利用している。太陽電池を追加で設置する場所はまだあるものの,「太陽電池のさらなる低コスト化や,出力変動を緩和する2次電池の低コスト化が進まないと,増設は難しい」(富士通の担当者)とした。

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