記者会見に臨んだソニーの経営陣。左から石田佳久氏(SVP,CPDG・ホームエンタテインメント事業本部長),吉岡浩氏(副社長,CPDGプレジデント),Howard Stringer氏(会長兼社長,CEO),平井一夫氏(EVP,NPSGプレジデント),大根田伸行氏(副社長,CFO)
記者会見に臨んだソニーの経営陣。左から石田佳久氏(SVP,CPDG・ホームエンタテインメント事業本部長),吉岡浩氏(副社長,CPDGプレジデント),Howard Stringer氏(会長兼社長,CEO),平井一夫氏(EVP,NPSGプレジデント),大根田伸行氏(副社長,CFO)
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 ソニーは2009年11月19日,収益力の強化策を公表した。2012年度末までに売上高営業利益率を5%,株主資本利益率(ROE)を10%に高めることを目指す。現在,同社のゲーム機のユーザー向けに展開しているネットサービス事業について,テレビやデジタルカメラなどデジタル家電を含めた形に拡大し,売り上げの増大を図る。また,設計・開発の合理化や調達コストの削減を事業横断的に進める。

 ネットサービスについては,同社の「PS3」や「PSP」のユーザーを対象としている「PlayStation Network」がある。このプラットフォームを生かして,同社のデジタル家電を窓口として映像/音楽/ゲーム/電子書籍といったコンテンツを双方向にやり取りできるようなネットサービス「Sony Online Service」(仮)を立ち上げる。このネットサービスに向け,新たに携帯型の機器を幾つか投入する。これにより,ネットサービス事業では2012年度に約3000億円の売り上げを目指す。収益面では,PlayStation Networkは2010年度の黒字化,ネットサービス全体では2011年度の黒字化を狙う。

 新ネットサービスには,窓口となるデジタル家電などのハードウエア製品群の価値を高めるという狙いもあり,短期的には同社のハードを対象とした「囲い込み型」ビジネスになる。だが,中・長期的には規模拡大のために他社製品まで対象に含めることも検討するという。

 構造改革では,デジタル家電や部品を手掛けるコンスーマープロダクツ&デバイスグループ(CPDG),ゲーム機やネット事業を手掛けるネットワークプロダクツ&サービスグループ(NPSG),Sony Ericsson Mobile Communications社で共同購買を実施。2008年度には2兆5000億円だった調達コストを,2009年度に2兆円まで圧縮することを目指す。

 赤字が続いている液晶テレビ事業に関しては,シャシーの数を集約。2010年度に現行の1/3に減らし,2011年には基本的に一つのシャシーで全製品をカバーする〔一部ODM(相手先ブランドによる設計・製造)供給を受けている製品を除く〕。こうした施策により,2010年度に黒字化,2012年度に全世界の市場シェア20%を目指す。ゲーム機のPS3についても,部品点数の削減や設計の見直しに加え,部門横断的な取り組みなどによりコスト削減を継続的に行い,2010年度にコストを現行から15%削減するとしている。