米Microsoft Corp.が主催する「Professional Developers Conference」の2日目の基調講演で,President of the Windows and Windows Live DivisionのSteven Sinofsky氏がWebブラウザー「Internet Explorer 9(IE9)」を初公開した。
IE9では,まず標準規格への対応を強化する。具体的にはHTML 5への対応を進める。標準規格への準拠度を検証するテスト「Acid3」の実行結果が,現行版であるInternet Explorer 8の場合100項目中20項目しかパスしていなかったのに対し,IE9は現時点で32項目がパスしているという。ただしこの数値は,他のHTML 5対応を標榜しているWebブラウザーと比べるとかなり見劣りがする。例えば手元にある米Google Inc.の「Chrome 3.0」では98項目,米Mozilla Corp.の「Firefox 3.5」でも93項目がパスしている。むしろ「CSS3」への対応を強化するなど,「実際に使うときには有効」(Sinofsky氏)な点の互換度を高めているという。
次に性能を向上させる。特にJavaScriptの性能を高める。ただしこれについても,今までのIE8がまだ他のブラウザーに比べ,大きく劣っていたのを同等にするといった具合だ。少なくとも現時点のIE9は,FirefoxやChrome,Safariに同等からやや劣る程度に持ってきたという形だ。
またIE9ではハードウエアによるグラフィックス描画機構を有効に使えるようにする。具体的には,Windows 7で導入した「Direct2D」に対応する。結果としてフォントを拡大してもなめらかに表示したり,サブピクセル単位で文字を表示したりできる。また地図サービスのようなグラフィックスを多用するものでも,なめらかな表示が可能になるという。