図◎PLAを採用したクレジットカード
図◎PLAを採用したクレジットカード
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 三菱樹脂と大日本印刷,ソニーの3社は共同で,原料の一部に植物資源を使ったプラスチック(バイオプラ)を主材料とする,ICクレジットカードを開発した(図)。質量の46.5%がポリ乳酸(PLA)でできている。MasterCard Worldwideの承認を得た。

 PLAをクレジットカードに適用するには,現行のポリエチレン(PE)系樹脂製クレジットカードが使われている環境下で支障なく使える特性をPLAが備えていなければならない。しかし,従来のPLAには,磁気ストライプやエンボスなどの加工を施しにくい,高温環境下での耐久性が低い,といった課題があった。今回,3社が共同で技術を開発することにより,これらの課題を克服したという。

 具体的には,三菱樹脂はクレジットカード用のシートの設計・製造技術を担当し,大日本印刷はカード構造の設計・製造技術を担当した。ソニーは,PLAのエレクトロニクス製品への採用で得た知見を基に,高温高湿度環境下での数千時間に及ぶ環境試験について評価条件設定などの技術開発をとりまとめた。新カードは,国際クレジットカードの適用規格であるISO/IEC 7810, 7811-1, 7811-2, 7811-3, 7811-6, 14443-1, JIS X 6301, 6302-1, 6302-6, 6303, 6304, 6322-1に適合する。

 同カードではさらに,ソニーの非接触ICカード技術「FeliCa」の適用と接触ICチップの搭載にも成功した。電子マネーやポイント,入退場ゲートなどに対応可能なアプリケーションを搭載した多機能ICクレジットカードとして使用できる。3社は今後,FeliCa搭載型の多機能ICカードを中心に,市場での展開を進める。特に大日本印刷は,金融機関に向けて新カードの販売を促進し,2012年までに約15億円の売り上げを見込んでいる。