University of WarwickのProfessor,Robert Critoph氏。写真:University of Warwick
University of WarwickのProfessor,Robert Critoph氏。写真:University of Warwick
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 英University of Warwickは2009年11月11日,「吸収式ヒート・ポンプ」の体積を約1/20に小型化する技術を開発したと発表した(発表資料)。既に,商用化のためのベンチャー企業「英Sorption Energy Ltd.」も設立し,自動車の空調や,住宅の空調兼給湯システムへの導入を図っていくとしている。

 吸収式ヒート・ポンプは,熱を主な動力源とするヒート・ポンプ。一般のヒート・ポンプが電力やエンジンでコンプレッサを駆動し,動力源としているのに対して,エンジンやボイラの排熱だけで動作するというメリットがある。一方で,蓄熱媒体として活性炭,熱交換媒体として水を用いる熱交換器の体積が非常に大きくなるのが実用化への課題になっていた。例えば,自動車の車内の冷房に用いるには,300L以上の体積が必要だった。

 今回,University of WarwickのProfessor Robert Critoph氏らは,熱交換器の体積を従来の1/20に小型化することに成功したという。この熱交換器は,金属板と活性炭の層を何層も重ねた格好をしている。金属板1枚の厚みが0.7mmと薄く,さらにこの金属板には熱交換媒体の水を通す直径0.3mmのパイプが約100本張り付いている。

 Critoph氏らは,これを家庭用の暖房システムとして用いれば,従来のボイラ式のシステムより燃料代を30%以上節約でき,自動車の冷房に用いた場合は,ガソリン代を5%近く削減できると試算する。