東芝は2009年11月11日,私的録画補償金管理協会(SARVH)が同社に対し,私的録画補償金の支払いを求めて提訴した件に関連して,「私的録画補償金に関する当社の対応について」と題するプレスリリースを発行して,同社の見解を文書で正式に明らかにした(プレスリリースへのリンク,SARVHの提訴に関するTech-On!関連記事)。

 このプレスリリースの中で東芝は,今回問題になったデジタル放送専用DVD録画機について,「アナログチューナー非搭載DVDレコーダーについては補償金の対象か否か明確でないため,現段階ではご購入者から補償金を徴収できないと判断しています」と,販売価格に上乗せする形での徴収を行っていない理由を,改めて説明している。

 「補償金の対象か否か明確でない」と判断する理由としては,「現在のデジタル放送においては著作権保護技術が施されてコピーが制限されているため,デジタル放送の記録に特化したアナログチューナーを搭載していないDVDレコーダーが補償金の対象か否かについては,消費者,権利者,製造業者など関係者の合意にいたらず,結論が得られていません」と説明し,参考文献として「平成21年1月文化審議会著作権分科会報告書」を挙げている(報告書へのリンク)。

 今後については,解決に向けた議論に真摯に取り組むと述べた後,「経済産業省と文化庁が,消費者,権利者,製造業者など関係者の合意のもと,必要な措置を適切に講じることを期待します」と関連省庁による調整に期待している。さらに今後,問題のデジタル放送専用DVD録画機が補償金の対象であると明確化されたとしても,「当該商品をご購入いただいた方から過去に遡って補償金をいただくことはありません」と明らかにしている。

 なお,今回のSARVHからの提訴については特に見解が述べられていない。これについては「まだ訴状を確認できておらず,コメントできる状況ではない」(東芝広報)とする。