私的録画補償金管理協会(SARVH)は2009年11月10日,東芝を提訴したと発表した。東芝が2009年2月に発売したデジタル録画専用DVD録画機「RD-E303/G503」に対する,私的録画補償金の未納付分(2009年3月末までに販売された台数分)の相当額3264万5550円の支払いを求めるもの。11月10日に東京地方裁判所に訴状を提出して受理された。

 SARVHは訴状の中で「被告(東芝を指す)が現在行っている補償金請求権の侵害行為がなし崩し的に横行する事態となれば,著作権法により規定されている私的録音録画補償金制度は崩壊する」と東芝を非難している。また,こうした行為が容認されると,「著作物の創作意欲・インセンティブも極端に減殺され」ひいては「我が国が誇る『コンテンツ産業』がいずれ衰退するのも必定である」と主張している。

 SARVHは2009年10月21日に開いた理事会で,東芝への提訴を辞さない姿勢を決めていた(Tech-On!関連記事1Tech-On!関連記事2)。その後,東芝に対して,再考を促し,補償金の納付を求める書状を送っていた。これに対して東芝は,11月4日に文書で回答したが,内容はSARVHが満足するものではなかったため,今回提訴に至ったとする。

 この問題は,東芝が2009年2月に発売したアナログ・チューナー非搭載のDVD録画機などについて,デジタル放送専用機であることを理由に,補償金の徴収を拒否している問題に関連する(Tech-On!関連記事3)。東芝は発売当初から,当該機種に関して機器に上乗せした形での補償金の徴収を行っていないことを明らかにしていた。また,2009年9月30日の期限までに,対象となる補償金を実際に納付しなかった事実は報道などで既に明らかになっていた。

 なお,合計91の権利者団体で構成するCulture Firstはこれに関連して,2009年11月10日に都内で記者会見を開き,「権利者としてはSARVHを支持し,支援していく」などと述べた。